生活保護ケースワーカー奮闘記

令和時代に福祉事務所のケースワーカーとして働く公務員の皆さん、またその関係組織の方々に関する情報を提供します。

ケースワーカーの役割 その3

CWが福祉職以外の職員が配属されること、初日から様々な事件が起きてそれを対応しなきゃいけないことはご理解頂けたと思います。

 

CWでこれも大変だなと思うことは、自分で采配を立て続けていくことが思います。

 

前にも書いている通り、自分の担当する受給者100数名がどんな人かを覚えることが必要になります。そして、その者毎に適切な支援を行う必要があります。また、何をしてはいけないか、いわゆる困難ケースと言われる対応に苦慮する受給者もいるため、ミスを犯さないように注意を払う必要があります。

 

たまに強気な職員が配属され、「私は全部強めに対応する!一般市民なんだから、平等にやる!」と息巻く人もいます。それ自体別に間違えではないのですが、運悪く困難ケースの対応を誤ると、この火消しに大きく時間を割かれます。

 

例えば、その困難ケース宅に定期訪問する際、その者は事前連絡の上で、午後じゃなきゃ嫌だというにもかかわらず、午前9時にアポなしで訪問する。

 

※訪問はいつ、何時に行かなきゃいけないというルールはありませんが、配慮できる時はそれなりに時間調整などをします。その方が余計なトラブルを回避できます。

 

当然相手は出てきません。「普通、働いていなくて朝9時ならいるでしょ!?」と考えた職員は、ドアをノックします。

 

さすがに出てこないので諦めて福祉事務所に帰ると、その受給者から電話がかかって来ます。

 

「何故勝手にきたのか、事前に連絡して午後から来るのが筋だろう」と主張します。勝手のわからない職員は、自分のしたことを批判されたと思い反論します。正論の方がいいかな、「状況確認のために定期訪問した。何か間違えっていますか?」と。

 

ここで、次からは午後にして欲しい→分かりました、で終われば良いのですが、少し対応を間違えると炎上します。

 

CWが、「午後の訪問しか受け付けないのは何故か、何かやましいことがあるのか」と聞いてしまったり、「いつどんな時でも家にいるなら対応すべき」と言ってしまうと、もう相手方のスイッチが入ります。

 

「自分のことを引き継いでいないのか、精神疾患があって朝起きれない、事前連絡をもらって調整して対応したい」などなど受給者自身の状況を話します。

 

段々互いに主張がエスカレートすると、受給者から、「もうお前と話したくない、担当変われ、上司を出せ、市長を出せ!お前なんて辞めさせてやる!市民感情が分からない公務員なんていてはいけない!」などとクレームに発展します。オンブズマンなどに情報が入ったりもします。この対応に膨大な時間を取られ、普段の受給者対応を疎かにしてしまう、なんてことが起こります。

 

これはあくまで一例ですが、実は生保受給者と一対一で対応する場面が多く、それなりに配慮しないといけない点は多いです。

 

なんで生保受給者にそこまで配慮しないといけないのか、と疑問になる方もいます。しかし、配慮することで自分の仕事が円滑に進むことは多いです。多少の労力、気遣いを心がける場面が多いのは、CW業務の特徴ではあります。

 

あ、因みにいつ訪問しても対応してくれる方はいます。また、いつ行ってもいない方もいます。生保受給者であっても、一般的な生活を営んでいるので、福祉事務所が想定する以上にいろんな活動をしているのかもしれません。

 

また別記事で訪問時の苦労は書きますが、ふとした言葉、行動で関係性を崩してしまうことがあるので、日々のCW業務では時に気を引き締めて対応することも肝要です。