生活保護ケースワーカー奮闘記

令和時代に福祉事務所のケースワーカーとして働く公務員の皆さん、またその関係組織の方々に関する情報を提供します。

携帯電話と生活保護

生活保護受給者の多くは一般の方と同じで殆どの方が携帯電話、スマートフォンを所有しています。今時ガラケーを持っている人より、新しく買う人はスマホの方が多い印象があります。

 

携帯電話はもはや贅沢品ではなく、必需品です。特にアパート賃貸借の契約の際、携帯電話がないとまず審査が通りません。保証会社の審査が通らずアパートが借りられない受給者は、大体携帯電話を持っていないことが多いです。(その次は緊急連絡先がいない場合です。)

 

ただ、この携帯電話の本体購入費や維持費、いわゆる毎月の通話料などは自分の生活扶助から出します。なので、賢く使わないとかなり生活を圧迫することになります。

 

さて、最近では大手キャリアの他に格安スマホも登場しており、携帯料金は安くなる一方です。インターネットを使う受給者もいますが、大体は電話だけと言う方も珍しくありません。

ネットを使う方は高齢者よりは若年層、精神疾患を抱える受給者や就労している方が多いかなと言う印象があります。

 

しかし、皆さんどうにも毎月の携帯代がものすごい高いのが気になります。自分は格安スマホの一番低廉な会社の一番安い料金なので、2000円程度の料金です。勿論10分間の通話も無料です。

 

受給者の方々は大体7、8,000円。高い人だと数万円という方もいます。10,000円を超えている方が多いです。

 

一体どんだけ携帯を使うのだろうと、これも数名に聞いてみました。

 

高齢の方ですと、なんとなく電話が長くなってしまう傾向にあるそうです。福祉事務所に長々と自分の話や周りの話を定期的にしてくる高齢受給者の場合、たまに気を遣ってこちらから折り返すことをしたりします。この気遣いもどうかと思いますが。

 

その他、最近はネットで買い物をする方もいるので、その料金が携帯代に含まれている方もいます。受給者の方がクレジットカードを使ってはいけないルールはありません、多くの方はクレジットカードを所有して月々の支払いをしています。

 

ただ、このカード決済でかなり使い込んでしまう方もいます。金銭管理が甘く、先にカードで買い物をしまくって、その後携帯料金未払いとなり、不通となる受給者は少なからずいます。

 

借金ではないので福祉事務所としては収入認定はできません。あくまで商品を購入しているだけなので、その身の丈に合った買い物をしていない、問題ではありますが生活保護法上のペナルティはありません。

 

勿論、使いすぎてしまえば債務になりますので、福祉事務所も相談されたら、法テラスに行く等提案をします、、、。相談された時、かなり気が滅入ります。

 

さて、携帯電話の料金でもう一つ気になるのが、オプションサービスの入り過ぎの契約状態です。たまにこれは我々が助言して解約をさせたりします。酷いもので、絶対いらないと思われる有料アプリ、サービスにガンガン入れられている高齢者などがいます。巷でも話題になっていますが、受給者もよく分からないところで搾取されてしまっていることもあります。

 

本当なら受給者みんなが格安スマホに切り替えればもっと楽になるのですが、福祉事務所としてそこはあまり強く助言しません。何故なら、携帯電話の仕組みがあまりに複雑で、またその契約の自由は当の受給者にあるのです。

 

もっと言えば、例えば受給者が、福祉事務所に言われて格安スマホにしたら使い方が分からない、通話がしにくい、データが飛んだ、どう責任取ってくれるんだ!?と言われる可能性が高いので、やっぱり余計なお節介はしないことが多いです。

 

もっと携帯電話に対するリテラシーが高まると、もう少し受給者の生活も楽になるのになぁ、そんなことは常々思います。