生活保護ケースワーカー奮闘記

令和時代に福祉事務所のケースワーカーとして働く公務員の皆さん、またその関係組織の方々に関する情報を提供します。

ケースワーカーの役割 その10

さて、前回は通院同行の記事でしたがその続きです。

 

実際に受給者を何とか説得し、やっとのことで通院させる気持ちになりました。しかしここからが本当に大変なのです。

 

まず、どこの病院に行くのかが大事です。基本的に大きな病院は町医者からの紹介状がないと診察をしてもらうことができません。よって、地域の町医者さんにかかることになりますが、どこに行くべきか迷うのです。

 

何故迷うのか、それは診察を受けるのがCW自身ではなく、受給者本人だからです。当たり前のことなのですが、これが意外に懸念事項なのです。もし我々が風邪を引いた、足をくじいたなのがあり、初めてのお医者さんにかかる時。恐らく大部分の人は、予めその病院がどういうところなのか、評判はどうなのか、待ち時間はどうなのか等をネットなどで下調べをすると思います。

そして、実際に通院して診察をしてもらい、もし、もしその病院の対応があまり自分の思っているものと違っていたら、どう思うか。恐らく、「まぁ仕方ない、外れることもあるけど薬もらったし、もう行かなくていいし大人しく休もう!」となります。

 

しかし、受給者が同じように対応の悪かった医者に掛かってしまうと、殆どの可能性で今後、医療機関へかかることはないと思います。さらに「福祉事務所が行けって言われて行ったのに、全然ダメだった。あの医者と福祉事務所はつながっていて、自分を陥れようとしているんだ、そうはさせるか!」と、被害的な感情を持つ方も珍しくありません。

 

実際、医療機関と福祉事務所は情報交換などの連携する機会はありますが、当然ながら別にどこの病院だって構わないのです。むしろ、早く診てくれるなら、そこが指定医療機関であればどこでも構わないわけで、選ぶこと自体、あまり意味がありません。

 

しかし!!!選ばざるをえないのは、ずっと医療を断ってきた受給者の初回の通院同行は、ミスが許されません。なるべく気持ちよく、受給者の希望が叶うような結果が出ないと次につながりません。なので、本当に難しいのです。

 

あ、ただ過去に行ったことある病院なら、行けるかもというなら、これはハードルが下がります。受給者自身も随分行っていないから気後れする、という気持ちもあるのだと思います。

 

本当に、何十年と医療に掛かっておらず、しかし体はボロボロ、介護サービスが必要な高齢者であれば早急に医療機関に掛かり、介護認定を得る必要があります。その時のとっかかりとなる初診、いつも「うまくいきますよーに。先生、何卒お願いします!」と願うことが多いです。

 

過去に何度も通院同行しましたが、待合室で2分に1回「もう待てない!帰る!こんなに待たせるなんて馬鹿にしている!!」と怒りまくる受給者をなだめる、そんなこともありました。この時は安全策で複数職員でいきましたが、病院からはうるさいと怒られるわ、受給者は時間が経つに連れて怒るわ、大変な待合時間でした。

 

でも、実際診察になると悪いところのオンパレード、早急に後日入院となるぐらい体調は悪く、その日通院同行できたことは非常に有益でした。勿論、当の受給者は「先生、助けてください。辛いんです」といきなり態度を変えて診察を受けるという、、、なんなんだ、これ、、、という気持ちになりました。

 

診察室に一緒に入るCWも、外で待っているCWもいます。プライベートな話になるので、一緒に来てほしいと言われないと行きません。実際、何が悪いかも聞いても正直医療的な部分なのでよく分かりません。

 

まぁ、次の受診日を予約してもらい、その後はうまく通院がつながることもあります。途切れてしまうこともあります。様々です。でも、少しでも体がよくなるようにと願うことは多いです。