生活保護ケースワーカー奮闘記

令和時代に福祉事務所のケースワーカーとして働く公務員の皆さん、またその関係組織の方々に関する情報を提供します。

ケースワーカーの役割 その9

受給者対応の一つに、通院同行というものがあります。悲しいかな、生保受給者の中には元来から病院が嫌い、一人で行きたくないという困ったさんが出てきます。

 

大の大人がそんなこと言わず、さっさと病院行って診察してもらって薬もらってそれ飲め!と言いたくなる気持ちがよく出てきます。

 

話を聞けば、昔受けた治療で痛い目にあった、診察が誤診だった、そもそも医者を信用していないなどなどなかなか自分本意な理由だなと思うこともありますが、それはその人の主観ですので、他人がどうこう、言いたくもなりますが、言わないでとりあえず話を聞きます。

 

さて、健康な時であれば特に医者にかかる必要もありません。過去にも記事にしましたが、生活保護費全体の半分は医療費です、無駄に通院しなければ自治体、もとい国の負担は少なくなります。

 

別記事に今後していきますが、生保受給者が適切に医療にかかっているか、同じ症状で複数の医療機関へかかっていないか、同じ薬を複数の医療機関で処方されていないかの確認は意外としっかりやっています。中には、医者を「ハシゴ」して、診察を受ける人もいますが、生保ではNGな行為です。

 

問題なのが、健康じゃなくなった時です。特に困るのが、高齢でありながらかかりつけ医がいないケース。歳を取れば何かしらの疾病傷病は出てくるものです。高血圧、坐骨神経症白内障認知症などなど、内科や外科のお世話になることは増えていきます。

 

適切に医師の診察、服薬ができていると万が一、倒れたり苦しくて救急搬送されたりした際、かかりつけ医と搬送先病院とが連携して情報交換して治療に努めます。当てずっぽではなく、あらかじめ受給者の情報に基づいた治療方針が立てられます。

 

通院していない、かかりつけ医がいないと医療情報がないため手掛かりなしの状態から治療が始まるなど、病院にとっても本人にとってもあまりいいことがありません。

 

しかし、病院に行く習慣のない人を通院につなげるのはかなり困難です。病識がなかったり、そもそも医療をあまり信じていない方が自発的に病院へ行くために、色々手段を変えていきます。

 

その一つが通院同行です。長年病院に行っていない人の中には、そもそも医師が何を言ってるか分からない、出される薬が理解できないという方もいます。そこでCWが待ち合わせをして一緒に通院するのです。

 

勿論、CWは病気や薬の知識があるわけではありません。着いて行ったからって治るものでもありませんが、同行することで受給者の不安がっていることを共有できる可能性はあります。

 

また、一部病院では、当該受給者が過去に病院内で問題を起こした等理由から、受診の際にはCWの同行が必須と言ってくるところもあります。これ、非常に迷うのですが、対応することもありました。

 

本来であればおかしい話なのです。生保受給者だから問題を起こす、のではなく、その問題を起こしたのがたまたま生保受給者であっただけであって。生保受給者でない一般の人が同じ迷惑行為を起こしたらどうするのか、聞いてみたいです。

 

病院は生保受給者が嫌であれば、指定医療機関を辞めればいいだけの話なのです。

 

まぁ、実際指定医療機関が無くなると、自治体にとってはマイナスしかなく、また病院にとってもプラスの面はあると思いますがマイナスになるところもあるのでなんとも言えません。

 

次の記事でもう少し内容書いていきます。