生活保護ケースワーカー奮闘記

令和時代に福祉事務所のケースワーカーとして働く公務員の皆さん、またその関係組織の方々に関する情報を提供します。

ケースワーカーの役割 その8

CW業務の中で、受給者の今後について検討する場面は多くあります。その一つに、カンファレンスという場があります。

 

例えば受給者が入院し、退院に向けて、またその後の生活についてどうしていくかというものを医師、看護師、ソーシャルワーカーなどと福祉事務所、地域の保健師さん等様々な関係機関が一堂に介して話し合います。このカンファレンス、なぜ福祉事務所のCWが参加するのか。

 

まず、病院や介護事業者、ケアマネージャーさん、各色々な期間は福祉事務所に医療費や介護費を請求してきます。予め福祉事務所からの承諾がないと、いざ請求した時に、福祉事務所は知りません、払いませんではとても困ってしまいます。要はお金の出所に承諾を得ておきたいのが理由の一つです。

 

もう一つは退院後の在宅復帰なのか、転院なのか、施設入所なのかという方向性による展開があるからです。

 

退院して家に帰るなら、家に帰った時のフォロー体制が不可欠になります。介護サービスを入れる増やす、訪問診療にする、宅配の配食サービスを入れる。

転院なら移動する先の病院が医療扶助の対象か、移動のお金は出してくれるか、

施設入所ならどこの施設に行くのか、入所時の費用や転居費用、家財処分費は出してもらえるかなどなど。

 

それぞれの機関が、今後こうしていきたいのでその方向性、費用等を説明したりします。大体、入院中であれば病院ソーシャルワーカーさんが主導し、他の機関にあれこれお願いをすることが多いです。

 

では福祉事務所のCWはカンファレンスで何をするか。我々は特に医療や介護のプロではないため、はっきりいえば知識面でかなり遅れを取ります。ソーシャルワーカーさんから、○◯さんどう思います???と聞かれても、答えに窮することは多いです。

 

今でこそ、自分か受給者の今後について、例えばヘルパーとデイサービス通所はやってみてもいいのでは。往診医師は、特にこのクリニックさんがよくやってくれています。施設なら、今の要介護ならあのあたりがいいのでは?と話ができます。

 

しかし、CWなりたての頃は周りが何を言っているのか理解すらできないことがありました。なので、カンファレンスに福祉事務所のCWが参加しても特に意見を言わず終わるなんてことも決して珍しくありません。

 

一回のカンファレンスで終わらず、二回目、三回目と実施されることもあります。その時に、次回までの課題を出されたりしますので、その宿題を片付けておく必要はあります。

 

そしてカンファレンスの難しいところは、受給者自身が理解しているか、にあります。入院中にADLが下がってしまい、今後の生活は以前のように自由にできないかもしれない、または逆に同じように生活したいという思いもあるでしょう。

そこをどうCWが噛み砕いて説明するかも重要です。受給者に対して、介護サービス入れましょう、施設入所はどう思います?などです。

 

CWは聞き役、受給者の通訳になるのも一つのやり方です。

 

私も当初はカンファレンスがあまり得意ではありませんでした。しかし、参加していくごとに、こりゃ方向性がまずい、受給者の意見が全くないという事態に気づくことも出てきて口を挟むことも増えてきました。

 

実際、カンファレンスでは色々な意見が飛び交うことや、ある人の一方的な思い、強制的意見で場が終わってしまうこともあります。誰もが必死に考えているゆえなのですが、ありがちなのが、この受給者はもう家では生活できない、施設に入れろという医師やソーシャルワーカーさんからの意見。受給者も初めて聞いたようで、えっ?!っていう顔をしていますが、話はどんどん施設入所で進んでしまう。理由も分からずハイ、ハイと聞いてしまっては受給者も困ってしまいます。

 

そこでCWが場を一旦止めて、何故施設なのか、在宅復帰は無理なのかと質問するのもいいです。なんだ、そんなことも分からないのかという目で見られても構わないのです。それが、受給者に伝わればいいのですから。

 

カンファレンスは場数をこなしていくのも上達の近道です。事前にCWとしてどうしていきたいのか、いくつか案を持っていく、不安があれば先輩職員や、査察指導官などと一緒に行くのもいいと思います。