生活保護ケースワーカー奮闘記

令和時代に福祉事務所のケースワーカーとして働く公務員の皆さん、またその関係組織の方々に関する情報を提供します。

ケースワーカーの役割 その11

CW業務では色々な機関からお願いをされる、ぶん投げられることを以前から書いてきています。

 

前回は通院同行について書きましたが、その他の立ち合いについて、経験例をいくつか。

 

よくあるのが、不動産会社への同行。通常、立ち退きなどの理由で受給者が今の住まいを離れなきゃいけなくなった時、転居要件に該当して敷金などが福祉事務所から支給できます。そして受給者は自分の足で不動産会社へ行き、住宅扶助の範囲内で住める場所を探します。

 

中には1日で探してくる人もいれば、なかなか見つからない人もいます。不動産会社へは自分が生活保護を受けていることを伝えるも伝えないも自由ですが、言いたくない方はとにかく自力で探すことになります。

 

受給者であることを伝えれば、慣れている不動産会社は生保対応のアパート一覧を出してきてくれたりします。

 

さて、そんな時にたまに起こる不動産会社への同行支援。受給者から、一人で探せる自信がないや、説明ができないなどのお悩み相談から。元来の精神疾患で家から出られない、一人では外出できないという場合。そのほか、不動産会社へ受給者が来たが、何を言っているのか分からないので同席してほしい、など。

 

我々としてはとにかく転居ができないと先に進めないので、これは時間をなるべく合わせで同行します。福祉事務所としても、受給者が転居していい物件か、敷金を扶助していい物件かを確認する必要もあります。

 

ただ、同行する時に気をつけなきゃいけないのは、受給者の探したアパートについて、強制をしてはいけないこと。意外と難しいのですが、例えば不動産会社から提示された物件が一つしかなく、またあまり気にいる物件ではない場合。

 

ここでCWが、「○○さん、もうここしかないですよ、ここにしましょうよ。」と言ってしまうと、危ういのです。確かに一つしかない物件、今のアパートの退去期日も迫っているなどネガティブな条件がある中、見つかったならラッキーな場合もあります。

 

CWは助言のつもりであったことも、後々この一言がトラブルになる可能性が生まれます。この物件に住むのは、我々ではなく受給者であること、受給者にとって福祉事務所の扶助を受けて転居することはかなり条件が限られていることから、一つの物件に長く住む可能性はあります。

 

気に入っていない物件、仕方なく選んだ物件だと、いざ転居した後に想像としていたものと違っていた、もう一回転居したいと訴えてくる可能性もあります。また、これから先ずっと、「あの時、福祉事務所に入居を強制された。本当は転居したくなかった。」と恨み節を言われることもあります。

 

実際、過去に担当していた受給者で、そのアパートに10年以上前に転居した方でしたが、ずっと当時のCWの発言を歴代のCWに話していました。ここまで来ると、まぁ気の毒と思うか、それでも自分で選んだんだからというか、よくわかりません。

 

物件について相談された場合、その事実だけを話す方が良いです。

 

例えば駅から数分であれば、今のアパートに比べて駅が近いですね!

エアコンが付いているなら、新しいエアコンですかね?

一階なら、階段の登り下りなさそうですね、などです。

これは事実なので、特に物件がいいも悪いも話していません。

 

あとは受給者にしっかり内見してもらうことをお勧めしてください。たまに見ないで入居しようとしますが、同様にトラブルになりがちです。