生活保護ケースワーカー奮闘記

令和時代に福祉事務所のケースワーカーとして働く公務員の皆さん、またその関係組織の方々に関する情報を提供します。

ケースワーカーの役割 その13

さて、前回精神科への通院同行が叶わなかったのですが、時間を置いて再度の通院同行です。

 

今回は事前に受給者宅へ1時間ほど前に事前訪問。受給者の外出への準備も手伝います。ここまでするべきかも迷うことはありますが、今回繋がれば、次は自分で行ってもらうきっかけになりますので、ケースワーカーも必死になります。

 

やっとのことで外に出た受給者。どうやら昼間に外出したのは数年ぶりだそうです。これまで夕方~深夜に外出をして買い物をする、そして帰宅するのみの生活だったので、昼間に人と一緒に外に出るだけでも十分な進歩です。

 

しかし・・・数年ぶりに外に出る受給者と毎日外に出ているケースワーカー。当然歩幅が合うわけなく、何度も距離が離れていきます。このため、歩いては止まり、歩いては止まりを繰り返して時間ギリギリに精神科へ着きます。

 

同行中、色々な人から「いったいこの人たちは何の関係なんだろうか?」と不思議な目で見られることもあります。そんなこと気にしていられません。

 

今回の精神科は事前予約をしておけばその時間に先生が診てくれるクリニックです。

世の中には事前予約はいらないけど、診察まで何時間も待たなきゃいけないクリニック、そもそも紹介状がないと新規の患者を受けないなどの大きな病院もあります。選ぶのも一苦労です。

 

受診の際にはケースワーカーも診察室の中に入るように言われます。これは、受給者の状況を少しでも把握したいという医師の希望もあります。一緒に中に入り、基本的なやり取りは医師と受給者に任せますが、足りない点はケースワーカーが横から口を挟みます。

 

と言っても、受給者に関して言えることがないとあまりコメントもしようがないのですが。これまで福祉事務所としてどういう関りをしてきたか、今後どうしていきたいかの希望を伝えることはあります。

 

初診も終わり、次の予約をお願いして終了。最初の診察では基本的に受給者の症状が決まることは稀です。数回の受診を経て、その受給者がうつ病なのか、パニック障害なのか、不安障害なのか、統合失調症なのか等を決定していきます。勿論、この途中途中でまた通院同行が入ったりしますが、大体一度行けると、次は受給者一人で行ってくれるようになります。

 

通院が続けば、受給者の服薬管理のために訪問看護が必要なのか、そもそも障害サービスが必要なのか、入院が必要なのか等の判断が出てきます。通院することで受給者の対応が変わってくることが多いです。

 

また、数年間外出をしていなければ定期的な通院は社会とのつながりができるきっかけになります。少しずつ外出をすることで、自分で外に出る意欲が沸く(と、嬉しい)ことになります。

 

精神科への通院は非常に神経を使いますが、一度達成できるとなかなか嬉しいものでもあります。