生活保護ケースワーカー奮闘記

令和時代に福祉事務所のケースワーカーとして働く公務員の皆さん、またその関係組織の方々に関する情報を提供します。

2021-01-01から1年間の記事一覧

ケースワーカーと心の病 その4

次に考えられるのが 3.これまで見たことも聞いたこともないパーソナリティーとの対話 難しく書きましたが、要は自分が今まで接してきていないような人達と会って話して、何かを頼んで何かを指導して、ということが辛いということはあります。 人間、ある程…

ケースワーカーと心の病 その3

次に考えられる原因は、 2.圧倒的な知識不足時に発生する緊急対応へのストレス これもケースワーカーあるあるなのですが、4月の人事異動で福祉事務所は配属になり、地区担当が決まると途端に全ての物事が待ったなしで動き始めます。中には4月1日の午前中、…

ケースワーカーと心の病 その2

ちょっと前まで、心の病は怠け病だ、甘えだ、根性が足りないなんていう風潮もありました。今だってごく一部の人達は、こういう気持ちを抱いている方もいるでしょう。勿論、全てが全てメンタル疾患というわけでもありません。その職員の適性、適応力、元来か…

ケースワーカーと心の病 その1

また不定期ですが、なぜケースワーカーが心を病んでしまって休職をしてしまうのか、査察の目線から考えてみました。長くなりますが、おおよそ的を得ているとは思うので、業務の参考にしてください。 今も昔も仕事をしていれば何かしらのトラブル、ストレス、…

保護申請時の気持ち その2

さて、晴れて相談係から「今度、あなたのところに新規(保護申請)来るから」と言われ、多少なりともドギマギするものです。 この時、地区担当としては今自分が抱えている仕事と、これから来る新規保護申請者のための時間と、両方の仕事量を考えます。その大…

保護申請時の気持ち

新型コロナウイルス感染拡大により、雇用情勢はかなり悪くなっていた時期がありました。また、一時は持ち直したけどその後収入が安定せず、やはり最低生活費を下回る生活を余儀なくされている方もいらっしゃいます。 その中で生活保護の申請(相談)が昨今、…

移管を断る福祉事務所の対応 その3

これまで移管で困ったことをあげていきます。 自分が移管する時 ・相手方自治体から転居前にも関わらず、執拗に様々な情報提供を求められた。 →これまでの記録やその他様々な情報全て出せと言われた時は流石にやりすぎでは?? 確かにどんな人間が移管されて…

生活保護とペット その2

このペット問題はいつでも福祉事務所を悩ませます。査察指導官の立場からは、ケースワーカーに対してはなるべく早くペットを手放すよう指導していくこと、万が一の処遇は保証できないことを念押ししておくことを伝えています。 どうしてもペットを手放さない…

生活保護とペット

何かのネット記事で、生活保護受給者はペットを飼ってはいけない、手放さなければいけない、と言うのは嘘という記事を見ました。 さて、現場の話をしますと、半分合っていて半分間違っています。受給前から飼っていて、それをそのまま飼い続けている方は少な…

生活保護費の内訳

前回の移管を断るシリーズが終わっていませんが、よく目にする「生活保護費が高すぎる、安すぎる」論争について。 東京都23区内で、65歳程度(高齢者世帯)、年金なし、加算なしで考えると、概ね8万円(若干端数はありますので、8万円とします。)、あとは家…

生保受給者と選挙

よく、生保受給者の皆様は選挙にあまり行かない方がいます。しかし、昨今の新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、貧困層への支援なども今回の衆院選では注目されています。 特に生活保護費引き下げなどで何かと最近、受給者関連の対応では政府の動きもな…

移管を断る福祉事務所の対応 その2

では、実際の移管の連絡などの仕方です。 ・受給者が転居先を決める。物件候補が決まったときに相手方自治体の福祉事務所へ情報提供。 このときに相手方から、具体的な受給者情報を求められる場合があります。受給者に情報提供をしていいかを確認した上で提…

移管を断る福祉事務所の対応 その1

自治体の中で生活保護を受けている人が何かしらの理由で転居をして、自治体の外に出てしまうことがときあります。 例えば、高齢で市内に物件が見つからずたまたま範囲を広げたら隣の市の物件であったり。 精神疾患で入院をして、やっと症状が落ち着いたのち…

ケースワーカーとテレワーク

新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、行政でも職員はテレワークを推進しているところです。 しかし、福祉事務所のケースワーカーでは残念ながらテレワークを実施するのはほぼ不可能です。当然ながら受給者に対しての直接支援が基本なため、福祉事務所…

ケースワーカー質問コーナー その3

色々質問があったりしたので少しずつ 事務職ですが、4月から福祉事務所のケースワーカーとして仕事をするよう異動がありました。8月までの4ヶ月間、とても精神的に辛くて何度も辞めたくなります。何故自分がやらされるのでしょうか、人事評価が悪かったので…

ケースワーカー質問コーナー その2

Q.アパートに住む市民からの苦情です。上の階に住んでいる生保受給者の生活音などがうるさい。奇声を発する、注意して欲しい。生保であることは知っている、福祉から言って欲しい。 これもよくあります。何故かアパート上下左右でトラブルが起きると、その…

ケースワーカー質問コーナー

職場の後輩からこんな質問がありました。 Q.高齢者で在宅生活限界なのに、一向に施設入所に応じない。地域資源はかなりギリギリまで使っていて、大家からはこのままでは貸し続けられない、福祉で退去させてほしいと、事故物件になったら遺留品(残地物)が…

生活保護と熱中症対策

受給者にとって夏の熱中症対策はかなり大変なものがあります。特に高齢者の場合、対策しないと部屋の中で体調不良になり、救急搬送されてしまえばたちまちADLが低下してしまいます。 ただ、不思議なことにあまり受給者は熱中症で運ばれることはありません。…

4連休の間の生活保護申請

貧困状況の中、どうしたら良いか分からない方が少なからずいると思います。 まず、この数日をなんとか凌ぐこと。 まだ家に食べるものがあれば、大切にすること。 今のうちに福祉事務所に出す資料を用意すること。特に大事なのが手持ちの通帳をATMで記帳して…

生活保護と介護サービス その3

介護サービスを導入する時に一番ありがたい状況は、やはり入院中の調整です。入院していてADLが分かりやすい場合、そして退院調整時期になってサービスを入れるための相談をする時が一番やりやすいです。 これは関係する人たちがみんなして、サービスの必要…

生活保護と介護サービス その2

さてさて、結局介護サービスを受けるまではほとんど一般の方と変わりがないルートを辿ります。生活保護だから、お金がないから、福祉の世話になってるから、という理由での近道、裏道はありません。 一般の方だと、とにかくサービスを入れるまでのつなぎとし…

生活保護と介護サービス その1

高齢世帯の多い受給者ですが、やはり年齢を重ねるに連れて介護保険のサービスを利用する方は多くなります。一般的に使われているものを当然使います、単にお金の支払いが本人から支払われるか、福祉事務所から介護扶助で支払われるかの違いだけです。サービ…

生活保護とコロナウイルスワクチン接種

高齢世帯が多い生活保護受給者ですが、新型コロナウイルスワクチンの接種が先月から始まってから大きな混乱はなく、粛々と接種を受けています。 高齢の生活保護受給者は概ねどの世帯も医療機関への通院がありますので、かかりつけ医で接種をケースワーカーか…

年金改定と生活保護費 その2

さて、年金額が変わる時に福祉事務所のケースワーカーは未だに年金改定通知書を受給者から受け取り、せっせとコピーをして金額を確認、返却しています。 働きかけが非常に面倒な作業なのです。受給者は、金額がほとんど変わらない年金を収入と捉えている人は…

年金改定と生活保護費

毎年6月になると福祉事務所として恒例の年金額調査が始まります。 老齢年金、障害年金、遺族年金等各種年金は毎年微妙に金額の変動があったり、全く変わらなかったりします。 受給者は年金を含め、何か収入があると遅滞なく収入申告する義務があります。年金…

生活保護制度の不思議さ

生活保護業務に携わってから、この法律・制度をじーっと見る機会が増えました。もっと言えば、真剣に「なんだこれ??」と考えるようになりました。 とかく、福祉職でもないので大学の講義などで福祉系の授業など受けたこともなく。単に地方公務員になってそ…

家庭訪問と部屋の中身 その2

前回、タバコの煙が凄いお家でしたが、もう少し印象的だったお家を。 家中に何かの貼り紙がされていて、なんだ??と受給者と話をしながらチラチラと横目で見ていると、、、あ、、、何かの言葉だ、これ、、、あ、、、、なんかの信仰的な言葉だなぁ。 お札と…

家庭訪問とお部屋の中身

CWの大きな業務として、受給者宅への定期家庭訪問があります。 他人の家に行く、しかも家の中まで入るという業務は事務職をしているとほとんどありません。福祉職の方や保健師さんなどはお家の中に入って仕事をすることもありますが、私もCWになるまでは、こ…

受給者との距離感

色々な仕事をしている中で、これほどまでに市民の方と距離が近い業務も珍しいと思います。家庭訪問や所内面談など、担当受給者と膝を突き合わせて話をすることが多い仕事ですが、それよりも難しいなぁと思うのが、その「距離感」だと思います。 例えば、受給…

保護費を使い切った受給者の対応 その3

食糧支援も手を尽くしてしまった場合、次に考えるのが短期に日雇い就労で何とか日銭を稼ぐことです。これは結構現実的な話で、一般市民の方なら「お金がなくても働けばいいじゃないか。何故保護費に頼るのか」と考える方も多いです。 勿論、この手段をそれな…