生活保護ケースワーカー奮闘記

令和時代に福祉事務所のケースワーカーとして働く公務員の皆さん、またその関係組織の方々に関する情報を提供します。

ケースワーカーの役割 その14

今回は入院同行です。以前の記事のように、受給者が入院した際の手続きなどはケースワーカーは代行しません。しかし、特に精神科への入院の際には福祉事務所の職員が同行するよう病院から指示を受ける場合があります。

 

精神科の場合、入院までの間に様々な手続きを行って入院となります。手続きで2時間ぐらいかかり、その間病院では看護師等が付き添うことをしません。特に受給者の場合は福祉事務所のケースワーカーがその役割を果たすものと考えています。

 

ではこれまでのように、この入院同行も断ってしまうべきか。これは、あまり気が進みませんが承諾することが多いです。でないと、入院ができないからです。入院ができなければ精神疾患を抱える受給者の回復が遅れる、状況改善がないとなれば、それはいかざるを得ません。

 

入院同行の際には、事前にかかりつけ医から入院を要する紹介状をもらっておく必要があります。まぁ、通院ができていてかかりつけ医が「このままじゃ回復が難しい。一度入院した方が良い、体調を整えた方がいい」とアドバイスがあれば、入院のための紹介状を書いてくれます。逆に、紹介状がないとなると受け入れてくれる病院が限られてきます。

 

東京都内ですと、世田谷区にある都立松沢病院が有名です。そのほか、板橋区にある成増厚生病院と東京武蔵野病院、八王子市にある東京高尾病院、三鷹市の井の頭病院(アルコール治療で有名です)などが精神科入院でよく選ばれるところです。連携しているクリニックも多い印象です。

 

私は松沢病院と井の頭病院はかなりの数行きました。アルコール依存に悩む受給者も多かったので、井の頭病院へは年に数回、月に1回は行くこともありました。

 

精神科病棟はその症状によって、開放病棟閉鎖病棟かに分かれていきます。閉鎖病棟へ入れるのは、この入院同行の時ぐらいで、面会もその後できない場合はあります。閉鎖病棟はその名の通り、かなり厳重に管理されていて、いくつかの扉を職員さんと一緒に入っていく必要があります。ただ、中に入ればそれほど大きな差はありません。気になったのは、人が殆どいないことぐらいでしょうか(みんな個室に入っているためです。)

 

さて、受給者と入院する予定の病院で時間通り待ち合わせをしたり、もう体調が悪くて一人で来ることのできない受給者は、事前にタクシーを手配して一緒に乗り込んだりします。こう書くと、一般の市民はタクシー使って通院入院なんてしない!贅沢なもんだ!と言われたりもしますが、動けないものは仕方ありません。なんなら、介護タクシーをお願いして、受給者を抱えてリクライニングシートに乗せたりもします。

 

病棟に入る前に色々診察を受けます。受給者を「はい、次こっち行きましょう」「先生の話分かりました?」「今後、保護費の受け渡しどうしましょうか?」などと雑談しながら待っています。通院同行と同じように、足りないところをフォローしていくことが多いです。

 

さて、入院も決まったので帰ろうかなと思うと、迎えに来た看護師さんが「福祉事務所の方ですか。それでしたらもう少し一緒に来てください」となぜか言われます。仕方ない、帰ろうと思ってもまだ解放されません。

 

そこから部屋に行き、受給者とまた待つのです。10分、15分、20分、30分と待ち、受給者も食事があると言われ移動します。

 

・・・あれ?私いつ帰っていいんだ?と不安になり、ナースセンターに行くと・・・「え?何か用があるのですか?もう病院では何もありません」と言われます。一体何のために待っていたのでしょうか???頭にクエスチョンを浮かべながら帰路に着きます。

 

その後数週間したのちに病院のソーシャルワーカーさんから状況報告があり、またカンファレンスが実施されたりします。入院同行も半日仕事です。