3月下旬からコロナウィルスによる影響で生活保護の相談・申請件数が増えています。また様々な機関で職員のコロナウィルス感染が見られ、ついに周辺の福祉事務所を含めて様々な対策が取られてきました。
受給者への対応の変化
福祉事務所のCWは、基本的に受給者と対面での対応や電話応対、家庭訪問、その他通院同行や不動産会社へ一緒に行くなどの対人援助があります。
また、皆さんも想像される保護費の支給について。
現在、殆どの福祉事務所では生活保護費を直接受給者の口座に振り込む「口座支給」が主流となっています。
これは、福祉事務所での現金管理のリスクや紛失、受給者が取りに来ることでの紛失、トラブル等防ぐためです。
しかし、それでも一部受給者に関しては、従来通りの窓口支給を行っています。これを「所払い」と呼んでいます。
直接保護費を渡し、そこから福祉事務所への返還金を回収したり、何か受給者では対応できない支払いを代理でCWが行う、金銭管理できない方に関してはそのまま必要な額をCWが預かるなどもしています。
各福祉事務所で人数はまちまちですが、23区内ですと数百名が1日に来所することもあります。
この所払いでは当然、CWと受給者がかなり近い距離で話をします。
まさに「濃厚接触」です。
査察指導官として、あまり受給者に近づいて話をしているCWを見ると、「ちょっと離れて話すように」と、指導をしたります。
しかし、そうもいっていられない(言葉が聞き取りづらい、小さい声でしか話せない等理由はあります。)状況もあります。
そのため、所払い時では極力接触時間を少なくすること、感染リスクを下げるように受給者間の距離を開けるような工夫をしていますが・・・果たしてどこまで効果があるのか。
また5月も支給日がありますが、今後の対策も迫られている状況です。
家庭訪問の原則中止
対人援助で重要な家庭訪問。
これはCWが受給者宅へ直接出向き、家の中で対応をすることです。
年に数回、多いときは1か月に1回程度訪問する受給者もいます。
この家庭訪問も当然、近い距離で話をすることになり、「濃厚接触」に当たります。
そのため、都道府県から原則取りやめるよう指導が入りました。
4月新年度になると、担当替えがあります。
担当替えがありますと、大よそ受給者の半分が入れ替えとなり、年度当初は毎回家庭訪問をして担当変更の連絡をしていました。
これを「引継訪問」と呼んでいます。しかし、今回はこの引継ぎ訪問も原則中止。そのため、CWは新しく引き継いだ受給者の顔が分からない、家の場所が分からない状態で勤務をしています。
特に突然来所される方や電話で新しい担当者を呼ぶ方、一体誰だ??という状況になりちょっとしたパニックになっています。
また、受給者も「何で訪問に来ないんだ!!!」と怒られる方(どうしてそんなに来てほしいのでしょうか??いつも疑問に思いますが・・・)もいたりします。
その他、病院への通院同行、転院同行や施設への入所同行も極力控えるようお達しが。かなり現場ではやりづらさを感じています。
勿論、職員の感染リスクを下げるため仕方のないことですが、当の受給者や関係機関からすれば「何で対応しない!?」と、コロナウィルスもどこ吹く風のような発言をされたり、なかなか苦慮しているところです。
※しかし多くの受給者、関係機関は「コロナウィルスだから仕方ない。体に気を付けて!」と励ましのメッセージをくれたりもします。本当にごく一部です。
面談室での換気・距離を開けての面談
福祉事務所では、所内に面談室という小部屋を複数持っています。部屋の中は机といすが並んでいるシンプルなつくりです。
この部屋は一部窓のない部屋であったりしますが、最近は換気をするために入口ドアを開けたままにしています。
ほかの福祉事務所では透明なビニールシートのようなものを机の真ん中に置いたり、チケット売り場に置いてあるアクリル板を置いてみたり、とにかく面談中の濃厚接触を避ける工夫をしています。
なお、面談が終わるとこのビニールシートやアクリル板、机や椅子をCWがアルコール除菌します。
面談室のドアを開けたままにする際には、受給者に一言断りを入れます。そうしないと「私のプライバシーが漏れてしまう!」と仰られる方もいるからです。
不動産会社の内見等中止
最近で一番困るのは、転居先を探している受給者の活動が停滞してしまっていることです。
不動産会社さんも交代勤務やお店を閉めているところ、内見を中止しているところがあります。受給者から「家が見つからない!」と言われるCWが最近多く、何故だろうと聞いてみたところ、こういった動きがあるようです。
不動産会社さんも近距離でお話しをされる業種なので、感染リスクを下げるために仕方のないことだと思います。中にはリモートワークで、電話でのやり取りが主流になっていたり、間取図だけを先にくれたりするところもありますが、内見ができないと受給者も最終決定ができないようで、この点が少し困っているところです。
いずれにせよ、日に日に感染者が増えている状況。早く収束することを心から願っています。