生活保護ケースワーカー奮闘記

令和時代に福祉事務所のケースワーカーとして働く公務員の皆さん、またその関係組織の方々に関する情報を提供します。

コロナウィルスの影響による生活保護申請 2

 コロナウィルスの影響により経済的貧困に陥り、今後生活をどうしていくかの相談が増えています。

 では実際どのような状態であれば、生活保護申請・保護決定となるか。

 ※あくまで一つの例です。絶対のこの状況でなければ申請・決定とならないわけではありません。相談であれば、最寄りの市役所の生活保護課へ電話等でお問い合わせください。

 

 福祉事務所の相談員が「この人は保護が必要だ」と考えるのは、

  1. 今現在、手持ち金・預貯金合わせて5万円程度しかない。
  2. 今現在、収入を得る手段がない(稼働能力は問わず)。あっても最低生活費を下回る。
  3. 親族知人からの支援が期待できない。
  4. 家賃・光熱水費の滞納があり、国民健康保険も支払えていない。

 この辺りでしょうか。複合的な理由が必要ですが、特に1~3が起きてしまっていれば要保護状態*1となりえます。

 非常にハードルが低い印象を受けるかもしれません。

 

 については簡単に、今お金がない状態です。

 おおよそ生活保護法の定める最低生活費は12~13万円程度(東京都基準。これは年齢、世帯員により変動があります。)ですので、その半分位の手持ち金であれば、要保護状態と言えます。

 ※実際には、手持ち金が10万円でもこの状況であれば、要保護状態にはなります。

 しかし、保護申請時に手持ち金が多いと、その月の保護費が満額出ない可能性はあります。これは、開始時当初の手持ち金を「収入認定*2」され、保護費が減額調整されるからです。

 この手持ち金が多ければ多いほど、保護開始月の保護費は少なくなります。

 逆に、手持ち金が最低生活費の半分を下回っていれば、収入認定されません。

 
 時折、手持ち金が多くても申請したいと仰る方もいます。50万円の手持ち金で申請されると、まだ預貯金が多いため、この場合であればまだ相談で終わります(あくまで一例です。)
 
 については、収入を得る手段がない状態。
 無職状態、収入が激減している、年金だけでは最低生活費を上回る収入がない状態
 「お金がなければ働けばいいじゃないか」「失業保険を受ければいいじゃないか」と言われる方もいますが、そのお金が手に入るのが数か月先だと、やはり今現在はお金がない状態なのです。
 また、高齢の方で仕事と年金収入で生きてきたが、年齢を理由に退職になってしまうと年金だけでは暮らせない方もいらっしゃいます。
 勿論、一時的に消費者金融からお金を借りる、物を質に入れるや売却するなどの手立てもありますが、凌ぎきれない状況も確かにあります。
 
 について、これもこの御時勢。自分一人生きていくのに大変なのに、他の人を助けていけない状況も理解はできます。また、既に頼り切ってしまってこれ以上支援できないと言われてしまったので、福祉事務所に来た方もいます。
 
 について、家賃滞納があれば退去となってしまうや、ライフラインが止まってしまえばそれこそ命に関わります、国保料が払えなければ医療に掛かることもできません。
 
 このほかにも、稼ぎはまだあるが重病に見舞われてしまっていて、今後巨額の医療費がかかる、介護費がかかるなども要素になります。
 
 概ねこのような状況であれば、具体的に今後どうしていくか、生活保護を受けるか否かを相談係の職員は具体的に申請に向けての支援を始まります。
 
 

*1:保護を受けるべき状態

*2:その人が自力で賄える資力