生活保護ケースワーカー奮闘記

令和時代に福祉事務所のケースワーカーとして働く公務員の皆さん、またその関係組織の方々に関する情報を提供します。

入居者の特徴〜外国人編

生活保護制度は日本に居住している外国人についても適用があります。非常に議論が分かれるところではありますが、実情では永住権のある外国人、在留資格のある外国人には適用されています。

 

さて、外国人受給者も非常に多種多様な方々で、どう支援すべきか一括りにではできません。私が過去に担当していた外国人受給者は

  • 日本語が全く分からない。読み書きが全くできないフィリピン人妻とその息子(母子家庭)
  • 日本語は少し喋れる、読み書きも少しできるが生活保護制度を理解できないフィリピン人夫婦
  • 日本にずっと住んでいるが、日本語が苦手な中国人老夫婦
  • 日本語もかなり分かる、読み書きもかなりできる若い韓国人

などでした。フィリピン人、中国人、韓国人の方は多かった印象があります。日本に来て日本人に馴染めず、働いてきたけどその場所が閉鎖されたなどの理由もありました。

 

外国人受給者で起きがちな問題

 

比較的大家さん、不動産会社さんから相談のある事項としては

  • ゴミ出しの分別、ゴミ出しの日が理解できない。
  • 音楽を大音量で流すので、騒音問題になっている。
  • 複数友人が毎日訪問してきて、寝泊まりしている。(非常に多かったです)
  • 家賃を払ってくれない。督促をかけても「わたし にほんご わからない」とドアを閉める。(これも多かったです)

などでした。

日本人であっても同じようなトラブルが起きるのですが、日本語の通じない外国人の方ですと、かなり大家さんも参ってしまい、退去してほしいと言い出す場合もあります。

しかし、福祉事務所に相談をされても、各種外国語を話せるCWは揃っていません。全く日本語の分からない中国人を相手に、全く中国語の分からない若いCWがたまたま担当してしまうことだってあります。我々は、意思疎通を行うことから始めるため、非常に苦戦を強いられます。

そして、日本人でも理解が難しい生活保護制度をすんなり理解してもらえるわけもなく、やはり収入申告をせず働いてしまったり、母国へ保護費を送金してしまったり、勝手に一時帰国してしまったりもします。これら、全て問題なのですが日本語が通じにくい方に対して指導をしても、理解されず、こちらも困った状態になります。そのため、指示義務違反による廃止というのも取りづらく、悪戦苦闘します。

 

送金は本当に困ります。日本の税金がなぜ海外に出て行ってしまうのか。

 

 

外国人入居希望者を入居させるべきか

 

大家さん、不動産会社さんの度量によるものです。福祉事務所では過去の記事でもあるように、アパート内で起きる問題については解決する手段を持ちえません。

外国人受給者の場合、偶然なのか、同じアパートに集まる傾向にあります。恐らく、外国人入居可の物件に集まっているでしょう。その地域も繁華街近くであることが多く、ある地区担当員は複数外国人受給者を受け持っていました。

難しいのが、連帯保証人などがつきづらいこと。必然的に賃貸保証会社を使うことになります。

勿論、全ての外国人受給者がトラブルを起こすわけではありません。キチンと日本の賃貸制度を理解し、家賃を払ったり、アパートのルールを守ったり。日本語が分からなくても、周りの方の力を借りて生活をしている方は沢山いらっしゃいます。

 

大家さん、不動産会社さんとしては住宅代理納付制度の活用、更新料の支払いに不安があれば福祉事務所で直接支給、契約時にはCWの同行を求めることをお勧めします。その他、敷金礼金については取れるだけ取っておく、騒音や住人外の者が寝泊まりしているところを発覚した場合は退去をさせる等の取り決めをしておくべきでしょう。