生活保護ケースワーカー奮闘記

令和時代に福祉事務所のケースワーカーとして働く公務員の皆さん、またその関係組織の方々に関する情報を提供します。

入居者の特徴~高齢者編(死亡リスク①孤独死)

 アパート入居している高齢者について、どんなところに注意すべきか、今後どういった対応をしていくべきかを検討します。

 

高齢者と孤独死

 

 どの入居者にも当てはまりますが、人間、どうしても寿命があります。CW時代、時折、警察署から福祉事務所に連絡がありました。

 その内容は「家の中で亡くなっている。生保受給者と思われる。」というもの。

 

 今や社会問題となっている孤独死ですが、これは生活保護受給者に限らずどの高齢者にも生じる可能性があります。

 生活保護制度では、概ね年に2回程度、受給者宅へ家庭訪問(※4/28現在はコロナウィルス感染防止のため、家庭訪問を控えるよう都道府県から指導が入っています。)を実施します。

 何も問題がなければ、一般市民と同じ生活を営んでいるため、福祉事務所も頻繁に訪問を行うことはありません。

 勿論、体が不自由になって外出がままならない等理由があり、CWが随時訪問をする場合もありますが、CWの家庭訪問は孤独死を避けるほどの効果は期待できません。

 

 やや不健康だけど毎月自分で通院している、用があれば福祉事務所に来所するご高齢の方が自宅で亡くなられたという連絡を受けると、自分も少なからずショックを受けることはありました。

 

 第一発見者

 自宅で亡くなられた方、その第一発見者さんとしては、以下の方でしょうか。

  • 家賃支払がないので自宅に行った大家さん
  • 最近姿を見ていない、隣から悪臭がすると訴えてきた隣人
  • その情報を聞いて駆け付けた不動産管理会社さん
  • デイサービス送迎の職員さん
  • 地域包括ケアセンターの職員さん
  • 水道料金検査員さん(水道が全く使われていなかったと気づいたようです)
  • 最近連絡がない、提出書類を出してくれず、複数回訪ねてみたCW
  • 親族
  • その他友人

 どの方からも連絡を受けたことがあります。一番多いのは、やはり大家さん、管理会社さん、隣人からの苦情でしょうか。

 

孤独死極力防ぐには 

 

  孤独死を完全に防ぐ手立てはありません。行政機関等が工夫を凝らしても抜本的な解決に至っていない状況があります。

 そのため、孤独死を未然に少しでも防ぐ、生じてしまった場合にその被害を最小限に留める手立てが必要になります。

 

 例えば、週1回でもデイサービスに通所している方であれば、1週間のうちに異変に気付く方が近くにいることになります。ヘルパーさんを利用している方も同じです。往診なども同様でしょうか。

 

 また、生活保護受給者に対して経済的支援はできないけど、日頃の悩み相談には乗れる、たまに家に行くという親族、飲み仲間が近くに住んでいれば、その訪問時に異変に気付く可能性はあります。

 

 逆に、あまり社会と交流がない、隣人にも顔を合わせる程度の方の場合、ご自宅で亡くなるとその発見が遅くなる可能性が高まります。

 

 まとめると

  • 可能な限りデイサービス、ヘルパー、往診を利用してもらい定期的に社会との交流を持ってもらう。
  • 親族との交流が活発であれば、緊急連絡先(≠保証人)になってもらう。
  • 火災保険(今後、ブログ更新していきます)に加入し、死亡時の特殊清掃や遺品片付け費用をカバーしてもらう。
  • 敷金を2ヶ月分しっかり取っておき、礼金も極力貯めておく。家賃を上限額ギリギリまで設定しておく。
  • 病気の進行が出たら、無理に居宅生活を送るのではなく、施設入所を勧める。(こちらも今後更新していきます)
  • 居宅内の荷物の整理整頓をしてもらう(老い支度)
  • 定期借家契約にしてもらい、期限時に体調を確認、難しいようであれば契約解除して施設入所を勧めてもらう。

などでしょうか。

 

 特に、あまり交流のない大家さんであれば、アパート更新時に入居者に対して上記の案をするのが望ましいです。

 前に、とある大家さんから「この家に医者に来てもらうようにしてくれなきゃ、更新しない!!体調不良時には施設に入る確約書をもらわないと、更新しない!本当ならすぐに出て行ってほしい!」とかなりの剣幕でいわれたこともあります。

法的にそのやり方が正しいか、今考えても疑問には思います。

しかしそうやって、ご自身の財産を守っている方のでしょう。ある意味勉強になりました。

 

 勿論これは一例です。しかし、大家さん側の視点に立つと、ここまで対策をして置くことでいくらかの金銭的負担を軽減させることは可能です。

 

 次は病死リスクについて記載していきます。