生活保護ケースワーカー奮闘記

令和時代に福祉事務所のケースワーカーとして働く公務員の皆さん、またその関係組織の方々に関する情報を提供します。

生活保護の利用について

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この記事を見て、いつもSVとして思うことは「非正規雇用で就職、保護脱却が本当にいいことなのか」ということ。非正規雇用は不景気になるとすぐに立場が悪くなってしまう、今回のコロナウィルスもまさにその一例だと思います。

 

時折、住宅費がかからないから寮がある仕事に就いた、稼げるようになったといい、収入申告から要否判定を行い、正規ルートで保護廃止(収入増による保護廃止)を達成する方はいます。しかし、今回のコロナウィルス騒動で解雇された、出勤日数が減った等の理由で数年後の再申請が増加しています。

 

生活保護は一度使っても、また窮迫状況になれば使える制度です。ですので、いわゆる出戻りであっても構わないのです。

 

よく、ネットとかでは「支援団体と一緒に行きましょう、弁護士と一緒じゃないと受け付けてくれない」という情報がありますが、そんなことはありません。福祉事務所として、当事者とその家族以外の人間が一緒に来ることを、あまり好みません。個人情報のやりとりは勿論、横から口を挟まれるとこちらからお話ししたいことを伝えきれないことが多いからです。

 

実際困るのが、相談者が全く何も言わずただ支援団体が捲し立てるように話をして、申請させろと強硬な姿勢を取ってくる場合。聞きたいこと聞こうとすると「それは個人情報ですよね?なぜ必要ですか?」と、今後のことなども全くお構いなしにただ、行政が悪い、世間が悪い、だから保護を受けさせろという姿勢でいらっしゃる方、少なくはありません。

 

勿論、全ての支援団体がこういう姿勢でいらっしゃるというわけではありません。行政とは全く違うエリアで貧困層に支援をされている方々です、方法は違えど救済という同じ側面を持っていると考えています。(実際、私のいる福祉事務所では支援団体や弁護士と一緒に来る方は殆どいらっしゃいません。おひとり、ご家族、大家さん、あとは政党関係の方、ケアマネージャーさんでしょうか。)

 

そして、やはり同じように福祉事務所の職員でもいわゆる「相談担当」という職員に、いい人もいれば癖のある人もいます。CWやSVでは、相談時点でどういった話を相談されているかは定かではありません。親身に聞いてくれる人もいれば、紋切り型の人もいます、相談しにくい雰囲気の人もいます。

 

そういった場合は、話す相手を変えてもらって構わないと思います。実際、我々実務を担当する職員でも、〇〇相談員は苦手、▲〇相談員はいつも的確なアドバイスをしてくれる、決定しやすいということがあります。

 

あと、やはりいま世の中にある制度の限りを尽くして、、それでもダメなら申請が望ましいです。よく、貸付金を使うと返さないといけないという方もいます。確かに貸付制度は返還をしないといけません。しかし、それを使わず生活保護を考えるとなると、その制度の趣旨が成り立たず、使えるもん使って、それでもダメなら保護という最後のセーフティネットの意味を没却させることになります。

 

何より、やはりこの制度に一度来てしまうと早期の脱却が本当に困難です。よく「数か月利用したい」、この申請理由を書いている方はいますが、殆どの方が1年、2年と長期化することがあります。

 

仕事が見つからなくても、仕事が選べる状況になってしまうためでしょうか。我々福祉事務所として、〇〇の仕事に就職すること、という指導はできません。職業選択の自由が保証されているためです。 

 

また、この事務所に来る前に様々に苦労された方もいます。体を壊した、心を壊した、借金をしすぎた等、これらの阻害要因を解消するためにも、単にお金を得るだけでなく、他の面でも治療・回復が必要となります。そのための福祉施策です。

 

緊急事態宣言が解除され、経済が回っていきます。早く一日でも、今お金に苦しんでいる人が保護を受けず、生活が成り立つような時期に来ますように。そして、それでも無理な場合は、遠慮なく福祉事務所にいらしてください。

 

いらしていただく際には、保護について聞きたい、預貯金はこれくらいだ、病院はここへ行っているなどの情報があると非常にありがたいです。そして、一度の相談では決定も何もありません。まず、どんなもんなんだろうという興味でも構いません。