昨今、首相の「最後は生活保護」と言う言葉が一人歩きしていて、生活保護制度に注目が集まっています。
よく、扶養照会を嫌がり受けたくないと言う理由を言う人がいますが、実際には扶養照会を断ったまま保護を受ける方は物凄く沢山います。嫌なら聞かない、これはスタンスとして間違ってはいません。
というのも、扶養照会は福祉事務所でも、作業の割に大した利益が得られないことが多いからです。
生活保護を受ける前に散々親族に支援を受け、もう無理!っと匙を投げられてきたり。
昔から好き勝手生きてきて、見放されたりしている人もいます。
特に後者の場合、当の申請者があまり気にしていなくても、迷惑を受けてきた親族にしては、2度と顔を見せて欲しくない、連絡してきてほしくないという気持ちで生きている方はいます。
うっかり、申請者が扶養照会して構わないと言い、福祉事務所で戸籍調査→住民票取得をして、親族に照会掛けると、物凄い剣幕で怒りの電話をかけてきたり、福祉事務所に押しかけてきて、自分たち親族がどれだけ苦労をかけられたかを怒鳴られながら聞くことはあります。
散々お金を無心された、借金を肩代わりさせられていた、土地や家屋を勝手に売られた、酒や麻薬で散々迷惑かけられた、虐待を受けていた、もう面倒見きれない、親族の縁を切った、なんて話は決して珍しくありません。
日本では縁を切ると言うことができませんので、どうしても親族という、繋がりは法律上は途切れることがありません。辛いですね。
また、扶養照会のもう一つのデメリットは、例えば娘や息子に扶養照会をかけた時、娘さんや息子さんが既に結婚していたりして世帯を持っていたりします。
その家に、貴方のお父さん、お母さんが生活保護申請してます、扶養できますか?なんて手紙を送ると、その家族に分かってしまうことがあります。
その旦那さんや奥さんにしてみては、自分の義父や義母が生活保護を受ける=この結婚している人にも何か問題があるんじゃないか?自分の親族に迷惑かかるんじゃないか?と考え、かなり家の中で問題になることがあります。
実際、この福祉事務所からの扶養照会によって、ご家庭が離婚寸前まで話が進んでしまったと涙ながら話される方もいました。
これは本当、気の毒としか言えません。自分たちはなんとか幸せな家庭を作ってきているのに、何故今その幸せを壊すような真似をするのか、福祉事務所は何を考えているのか、こんなお叱りをうけることがあります。
当の本人は大して仲が悪くないと思っているケースはあります。本当、福祉事務所としてはたまったもんじゃありません。
勿論、資産のあるご親族がいれば金銭的支援を受ける、これは世の常だと思います。ただ、今は人一人生きていくことが難しい時代。お金も出せないことはあるでしょう。
なので、そんなに抵抗を受ける必要はないと思うのです。照会してほしくないなら、それでいいと思います。
ただ福祉事務所としては、例えば申請の段階で将来のリスクに備えて事前の同意書などは必要かなと思います。
例えば、命に関わる手術などはあらかじめ断る。意識不明、昏睡などの状態で家屋の家財処分が必要となったら処分を福祉事務所に委任する、亡くなった時の骨は共同埋葬する、などでしょうか?
これら本人の意思が分からず、しかし何か判断をしなきゃいけない時に、親族の同意を必要とする場面が多いのです。
福祉事務所では同意権はありませんので、その辺りをきちんと整理できれば、はっきりいって困窮している方の扶養照会はいらないと思います。