生活保護ケースワーカー奮闘記

令和時代に福祉事務所のケースワーカーとして働く公務員の皆さん、またその関係組織の方々に関する情報を提供します。

世間一般でいわれる生保あるある その2

○生保受給者なのにベンツ乗り回している。取り締まるべきだ。

 

ベンツがどうか分かりませんが、生保受給者で自家用車を所有している者は一定要件を満たせばいます。少ないですが。都内の福祉事務所であれば、身体障害者で福祉仕様の車を持っている方はいますね。公営住宅の駐車場は空きがあって、申請要件が整っていれば駐車が認められます。民間の駐車場は高いですけど、公営住宅であれば殆ど料金はかかりません。

 

生保受給者が何故自家用車を所有することが認められないか。思うところはあるのですが、現在においても「車=資産」とみなされるため、資産があるなら先に売り払ってお金に換えて、それを使って生活をするよう指示を受けます。確かに、各世帯諸事情はあることは分かりますが、法律上規定されていると、現場のCW、SVではそれに従って指示をする必要があります。※現在のコロナウィルス感染状況下においては、この話も緩和されていますが、あくまで平時においては資産扱いされます。

 

勿論、生活保護法は全国法であるため、一律規定となっていることから、その都道府県の状況では素直に当てはまらない場合もあります。車がないと生きていけない地域、上のように公共交通機関の利用が難しい受給者、仕事で車を使用する場合などあります。

 

そのため、ある程度緩和要件はあります。全ての所有世帯にNGとすることは、自立助長の観点から意味が薄いことになります。

 

過去、自分の受給者では保護申請時に車を所有していて、結局廃棄する前に就職が決まって保護廃止になった者はいました。上手く逃げられたなぁという印象でしたが、売れなきゃ資力の発生にもならないため、ここは追いかけられずでした。まぁ、それぐらい能力のあった方なので、あまりうるさく言っても仕方がないかなと。入った給与額を見て、すぐに保護要否判定、保護不要となった方でしたね。

 

あと、本当にベンツを売って保護廃止となった者もいました。ベンツ、古い方でも数百万になることがあるため、保護3か月ぐらいの方でしたが、売却益に対して保護費返還をしてもらってもまだ余ったため、そのまま廃止へ。

 

生保受給者が車を乗ることに対して、何が問題か。それは①維持費が高い。②保険加入が難しい。③やはり資産として活用すべき。の3つでしょうか。

 

①の維持費は、車検代、ガソリン代、税金などを考えれば保護費で賄いきることは難しいです。東京都内で普通に仕事をしていても、維持費に四苦八苦するのですから、生保受給者が満足に維持費を捻出するのは難しいです。

②の保険加入について。自賠責のほかに任意保険の加入をしない受給者が時折いますが、加入しない限り保有を認められません。これは、万が一事故を起こしたときの賠償責任が全うできないためです。保険加入費も当然保護費で賄う必要があります。満足な保険に加入することは非常に困難です。何より、保護受給者が相手方に怪我を負わせたい、相手方に対して金銭的な補償ができなければ、怪我をした者は堪ったもんじゃありません。仮に福祉事務所が、保険未加入の受給者がいることを知っていて、加入指導を行っていなければ社会問題になります。

③について、やはり使えるものは先に処分すべきという考えがあります。車は便利ですが、最低生活という面を考えると、まぁ先に処分してもらうべきですね。

 

ちなみに、人から借用している車を乗っているやレンタカーについても問題になります。借用しているのであれば資産ではない、というのはその通りです。処分はできません。(たまに、そんなに気前のいい友人が世の中にいるなら、金銭的支援をしてもらえばいいのにと思うのですが・・・)。

 

勿論、借用車であっても前述の要件は当てはまります。維持費や保険の問題が生じますので、やはり借用車であっても運転し続けるのは難しいでしょう。レンタカーも同様で、そのレンタル代、保険加入代が賄えないのであれば控えるべきです。車検切れの車、整備されていない車に乗っていて事故を起こせば、それこそ様々な問題が生じます。控えるべきと思います。

 

まぁ、どうしても車に乗りたいなら、保護を受けず頑張って仕事をして自由な生活をすべきだと思います。どうしても保護を受けるなら、売却手続きをする前に保護廃止できるだけの資力を持つべきだと思います。