生活保護ケースワーカー奮闘記

令和時代に福祉事務所のケースワーカーとして働く公務員の皆さん、またその関係組織の方々に関する情報を提供します。

世間一般でいわれる生保あるある その6

○生保受給者は医療費が無料で羨ましい。私は医療費がかかって生活が苦しい。

 

生保受給者は医療扶助の制度があり、健康保険の対象となる受診、入院、調剤等は全て原則無料になります。無料というのは、実際には国の税金により100%賄われているので、医療を受ける当人の医療費を他の国民が払っているのと同じです。

最近ではアメリカなどの海外のコロナウィルス騒動で、アメリカの医療は高くて定期的に受信できないという話もまたもやピックアップされています。

日本は国民皆保険のため、望めば誰もが最低でも国民健康保険に加入できる、ざっくり医療費を3割負担すればおおよその医療を受けられます。高齢者、低収入などになれば、2割、1割と少なくなる素敵な制度です。一定の保険料を払えば等しく医療を受けられる、これは日本が誇るべき制度だと考えます。

 

勿論、その弊害もあります。少ない保険料で大きな医療を受けるとなれば、その分誰かが保険料を負担することになります。これは応能負担の国民が背負うべき負担となり、誰かが大きなお金を支払って成り立つ制度です。

生保受給者には当然保険料は発生しません。負担なしで健康保険加入者と同等の医療を受けられます。内科だろうが癌の手術だろうが、ポリープだろうが、保険適用の医療は受けられます。

 

よく、生保受給者には最低限の医療でいいと批判的な意見もあります。何をもって最低限の医療か、その線引きができません。なので、例えば手術一つにしても、同じ疾病の患者と変わらず同じ手術を受けられます。

 

では、何が問題か。例えば負担ゼロで医療を受けられれば、恐らく普段であれば医者に行かないような症状でも、病院に行きます。風邪、咳込み、腰が痛いなどなど。普通なら我慢できるところをすぐ病院に行く、そして治らないと訴えてまた行く、治らなきゃ別の病院へ行く、などなどの問題行動を起こす受給者は少なからず存在します。

 

どのレベルの治療を求めるかわかりませんが、病院へ行けば治ると考える人は、病院で全てが解決すると考えている方です。まぁ、普段の生活をしていれば、医療と並行して様々な予防策、それこそ食事、運動、睡眠等を組み合わせて初めて健康は達成されます。この考えがなく、単に行って薬をもらう、効かないから別の薬をもらう、の繰り返しをする方はいます。

この場合、CWとしては受給者に様々な健康改善の助言、他の部署の職員と連携して行きますが、、、まぁ効果が必ず出るものでもありません。

 

ちなみに、逆にどんなに医療が必要な体になっても絶対に病院へ行かない受給者もいます。特に高齢者の方で多いです。どんなにフラフラでも、認知症状が進んでいても、全く受け付けない、仮に入院となっても脱走してしまう方もいます。こっちの方が対応に困ることがあります。どうしても、介護サービスが必要、施設入所が必要となっても、医療を受けていない方を受け入れるものがないからです。

 

通院同行の約束をしても、約束の日に来ない、往診の先生を連れてきても家にいない、ざらにあります。徘徊をしてしまったり、近所迷惑になる倒れ方をしても、医者に行かない、この対応に最善策がなく、最終的に亡くなってしまうケースもあります。

 

なお、余談ですが。生活保護受給の保護費総額の半分は医療費です。そのため、受給者が生保の恩恵を受けているのは、現金以外に医療負担の面が非常に大きいです。そのため、やはり生活保護受給者の医療に対する批判は依然として強いものになります。