生活保護ケースワーカー奮闘記

令和時代に福祉事務所のケースワーカーとして働く公務員の皆さん、またその関係組織の方々に関する情報を提供します。

受給者の住む家とはどんなもの その2

 

yoko2020.hatenablog.com

 

以前、こんな記事を書きましたが、もう少し詳しく書いてみようと思います。

 

一般的に生保アパートと言われるのはどんなタイプのものが多かったか。

① 昭和の長屋タイプのもので廊下があって左右にそれぞれ部屋がある。トイレ共同、風呂なし。このタイプは東京都内でも一部見受けられます。それぞれの部屋のドアも引き戸で、簡易的な鍵のところが多かったです。トイレも和式なところが多く、高齢受給者はトイレを使うことが難しくなって転居していく方がいたり。風呂は殆どありませんでした、皆さん銭湯やデイサービスを使っていました。古い家のため、保護受給前からずっと長いこと住んでいて、数十年住み続けている方もいました。それと、部屋が狭い印象がありました。なので家賃も低廉なところが多かったです。

 

②木造アパートで、風呂なし物件(たまにシャワーがついている)。昭和の50年あたりに造られている物件で、風呂なしはまだありました。こういうタイプの場合、2間あったりすることもあり、部屋が広いことが多かったです。キッチンがあって、自分で食事を作る方もいました。こちらも、保護受給前からずっと長いこと住んでいて、数十年住み続けている方もいました。最近は、このタイプの家でもエアコンがついていることは多かったです。

 

③木造アパートで風呂トイレあり。これも昭和50年あたりに造られた物件で、風呂は1人用で狭く、浴槽の高さがかなりある場合がありました。若い頃はいいのですが、年齢を重ねるとまたげなくなってしまい、風呂が物置になってしまう方も。古い物件ですが、1K程度の広さがあり、キッチンで簡単な食事を作ることはできるスペースはありました。このタイプのアパートに住んでいる方は多かったです。前の家が高額家賃で転居をしないといけない場合、受給者がよく持ってくるタイプの家です。

 

④ロフト付きのアパート。平成初期に造られたタイプのアパート。ロフト付きの場合、なんとなくオシャレに見えるのですが、その分居室スペースが取られてしまいかなり手狭なところも。また、ロフト部分に登れなくなってしまい、荷物置き場になってしまうことも。若い受給者だと、こういう家に住みたがることもあります。

 

⑤オートロック付きのアパート。少し値段が高く、交渉の結果、家賃を管理費に振り替えてもらったして入れることも。

 

⑥持ち家。時折、資産価値のない一軒家であれば売却指導とならずそのまま住み続けられることがあります。平屋、2階建てなど様々でしたが木造ゆえに色々傷んでいる箇所、雨漏りが多かった家もありました。エアコンがなかったり、網戸が壊れてしまっていて蚊が入ってきたり、大変な家もありました。

 

公営住宅。いわゆる団地です。市営団地でも、レトロなところもあればリフォームがしっかりされていてとても綺麗な建物もあります。前に某中核市市営住宅に転居された高齢者がいましたが、転居確認でお邪魔したところ、自分が住んでいるアパートより広く、綺麗で正直羨ましかったことを覚えています。風呂トイレ、キッチンも広く、バリアフリー化されている物件でした。公営住宅の場合、自治体の管理状況によるのでかなり良し悪しが分かれます。印象としては、東京都23区より、市町村の公営住宅の方が綺麗で住みやすそうな物件も多かったです。しかし、皆さん23区狙いのため、超高倍率の当選にいつも当たらず・・・。たまに本当にどこでも良いという方ですと、市町村の公営住宅に応募し、すぐに入居されている方もいます。

 

⑧施設系(今後ブログで記載していきます)。有料老人ホーム、軽費老人ホームサービス付き高齢者向け住宅特別養護老人ホーム認知症高齢者GH等々。

※意外に知られていませんが、生保受給者でも有料老人ホーム入居ができます。そのため、生保に特化した有料老人ホームを運営する大家さんもいらっしゃいます。

 

一般的に、生保受給者は「最低生活を営む」ために様々な扶助制度が揃っています。家具什器費、住宅維持費が代表的なものです。これらは扶助要件が限定されているため、何でも支給されるわけではありません。受給者の家でも、洗濯機、冷蔵庫、電子レンジ、テレビ、こたつ、ストーブ、エアコンなど我々が使っている家電が揃っている方は多いです。たまに、洗濯機はコインランドリーを使っている方も(設置スペースがないそうです)。

あと、お部屋の中に仏壇を飾っている方もいらっしゃいます。ご先祖様のものもあれば、宗教関係で置いている方もいらっしゃいます。