生活保護ケースワーカー奮闘記

令和時代に福祉事務所のケースワーカーとして働く公務員の皆さん、またその関係組織の方々に関する情報を提供します。

世間一般でいわれる生保あるある その5の2

さて、前回のようにかなりイレギュラーな訴えでの転居が認められるか。おおよそ、このイレギュラーな訴えで転居していくと、世間一般ではなぜ転居できるのか???という批判にもつながるのかもしれません。

 

まず、前回出たような、近隣住人とのトラブルについては大家さんや不動産会社さんに事前に解消の訴えがなされると思います。非常に対応に苦慮されることと思います、大家さんも楽じゃないですね。

この場合、おそらく大家さんや不動産会社さんは一応トラブル事案として確認はされていると思います。勿論、きちんとしたトラブルであれば何かしらの対応、トラブルを起こしている相手方に、迷惑している人がいるから控えるよう貸主として注意を促します。それでも改善が見られなければ、このトラブルを起こしている相手方に対して、退去をしてもらうなどの手段に出るでしょう。

 

問題は、このトラブルが全くない場合です。これがよく生保受給者には起こります。誰も何もしていないのに、誰かに見張られている、部屋に入られた、電波攻撃を受けている、このような訴えがなされたことは少なからず経験があるかと思います。このような訴えをされてしまうと、大家さん達も本当に大丈夫か!?と心配になってきます。

 

さて、このような場合、福祉事務所では「まず警察に相談すること」と助言します。、、、警察も困ると思いますが、地域の治安維持という観点では、誰かにつきまとわれている、見張られているという相談は受けざるを得ません。というのも、福祉事務所では何もできないからです。行政権力ではつきまといや見張られていることに対して、対応手段はありません。

 

しかし、これでもどーーーしても解消できない場合、これは福祉事務所で判断して転居を認める場合はあります。勿論、かなり時間を要しますし、担当CWの中には絶対に認めない!!という者もいます。あとは上司の査察指導官の判断もあります。絶対にダメという査察もいれば、転居することで落ち着くならやむなしと判断する方もいます。結構この辺りは対応バラバラです、一律のルールがないため、やはり個別案件として検討していきます。

 

私が過去経験したのは、複数回訴えがあり、かつ不動産会社からももうこれ以上訴えに対して対応することできない、退去してほしいといわれたもの。退去勧告が出てしまったので転居を認めたネガティブな例です。

他にも、精神が不安な状態になっていて、転居によって一定の回復が見込めるなどの精神科医(かかりつけ医)の診断があれば認めるなどもあります。

 

電波、電磁波、この話は本当によく聞きます。多分このような訴えをされる方は、携帯電話の電磁波問題が叫ばれた昔の気持ちが、いまでも残っているのかもしれません。

 

転居して精神が落ち着く、というのはもしかしたら一般感覚では分からないものかもしれません。少なくとも、私にはその感覚は理解できません。ただ、精神的に不安定な方々はそれなりに思い込みや過敏症、神経症、不安症などの悩みがあり、感覚が鋭かったりします。それゆえ、恐らく何かしら見えたり、聞こえたりするのかもしれません。

 

確かに批判の中には、山奥の自然の中で生きていけば悩まず済むというものもあります。実際、山奥の精神科病棟に入院することで何ら普通の方と変わらない精神状態に回復された方もいます。

 

現代の世の中が、たくさんの物や音に溢れているのは否めません。しかし、山奥の精神科病棟へ進んで入院される方はまずいません。不便な都会の中で、何かしらの不満を抱えながら生きている方が非常に多いです。