生活保護ケースワーカー奮闘記

令和時代に福祉事務所のケースワーカーとして働く公務員の皆さん、またその関係組織の方々に関する情報を提供します。

扶養照会の難しさ その1

一度は耳にしたことのある、生保受給者の生保を受けるに当たって、その親族等扶養義務者に援助ができないかを確認する作業です。

 

随分前にですが、某お笑い芸人さんの件で話題になったこともあります。その当時は、そんなに人気のあってお金もあるならきちんと援助してあげればいいのに、という気持ちになりましたが、今こうやって生保業務に携わっているとあながちそれが正解とも言えません。

 

一般的にですが、生保申請を受けた自治体、担当となるCWはその者の扶養義務者に対して扶養照会を掛けます。中身としては、金銭的支援ができないか、精神的支援はできないか、緊急時の連絡先になってくれないか、扶養に入れる考えはないか、のようなものです。

 

金銭的支援は分かりやすいです。お金を援助してくださいというもので、毎月の仕送り収入になったり、そもそも生保を受けず済むお金を支援してくれるかもしれません。本当にごく稀、数年に一回あるか、ないかのレベルで、親族身内が生保申請をしているなんて知らなかった、支援しますとしてくれた方がいたりします。かなり奇跡に近い話です。

 

精神的支援は、お金は出せないが相談には乗れる、日頃の相談相手やらになります。福祉事務所的にはこの精神的支援ができる親族がいると、金銭管理、施設入所の支援や同意、緊急入院の時や手術同意、死亡時の届出人や遺骨引き取りなどの相談ができるため有難い存在になります。これは普段から仲の良い兄弟、子供などがいるとなってくれることが多いです。

 

緊急時の連絡先は上の通りです。福祉事務所では緊急入院の同意や手術の同意はできません。あくまで他人ですので、親族のできることで福祉事務所ができないことはまだまだ沢山あります。

 

扶養に入れる、は金銭面含め支援する、という意味ですね。お婆ちゃんを将来的には扶養に入れます、という孫がいたりします、ほとんどこれもありませんが。

 

このような調査を行います。しかし、このような調査をかけ、回答を待つ間、生保受給開始を待っていては貧困状態の市民を見殺しにする可能性もあります。ある自治体では、扶養義務者に対しての扶養照会を全て待ってから開始決定を行うようです。その間は申請中として、各種貸付を勧めたりするそうですが、、、現時点で貧困状態の人に貸付を勧めたところで、返すあてもないんじゃないか??という気持ちにもなります。まぁ、適切な手続きと言えばそうですが、そんな回答を待ってられない場合も大いにあります。

 

そんな時は、とりあえず先に開始決定をし、後から扶養照会の回答を確認します。これであればスピーディーな生保受給となり、命を救わられる方も出てきます。何より、医療や介護機関と言ったところは、すぐに治療、サービス導入ができたりします。生保開始をしてくれれば、それ以降は全て扶助してもらえるからです。

 

次からは扶養照会の難しさについて。