生活保護ケースワーカー奮闘記

令和時代に福祉事務所のケースワーカーとして働く公務員の皆さん、またその関係組織の方々に関する情報を提供します。

扶養照会の難しさ その2

扶養照会の難しさは、当然ながらその方々の親子、親族関係によります。

 

まず、扶養照会は優先して行われるべきものでありますが、保護申請者等がやりたくない、やめて欲しいという拒否をすれば福祉事務所も強行することはできません。絶対的な義務ではないので、やらずに保護を受けることも可能です。過去をよく勘違いして、扶養照会を了承しないと保護開始できない等心理的圧迫をかける福祉事務所もあったりなかったり、、、。

 

日頃から仲はいいけどお互い生活はギリギリみたいな関係性なら扶養照会も送りがいがあります。すでに保護を受けることも相談していたり、相手も実は保護を受けているみたいなら、お金は出ないけど入院の時には手伝ってくれる、なんなら意識なくなったら金銭管理くらいしますと言ってくれる親族とかなら、福祉事務所として安心できる受給者になります。

 

ただ、親族と仲のいい方ですと、時にその親族から色々と注文が出たりすることも。何故うちの○○にはきちんと支援してくれないのか、もっと行政として果たす義務があるだろう等、かなり厳しい要求をしてくる人もいます。お金出せないんだから、余計な口を出して欲しくないという気持ちを押し殺しながら、ここは傾聴します。全く放置もどうかと思いますが、にわか知識で生保を語り、さも、国民の権利だ!!厚労省に訴える!!という姿勢で来る親族がいると、うーん、うーんと悩むことも。

 

そして、逆に物凄く関係性が悪い親族もあります。むしろこっちの方が普通なくらいです。

既に親族友人知人に迷惑をかけまくって来た、お金を借りるだけ借りて返さない。離婚して子供たちにも頼らない、勿論不倫浮気して来た、などなど関係性を悪くする行動をし尽くしてきた方は多くいます。

 

この時、扶養照会を控えてほしいと本人から言われれば、まぁ仕方ないかという気持ちで控える、一応戸籍と親族の住所くらいは確認調査して終える、ことはあります。

問題は、自分の起こして来た行動が本人自身あまり迷惑なことと思っていない時。扶養照会も構わないというので手紙を送ると、、、その親族からものすごい剣幕の電話、手紙、はたまた直接福祉事務所に乗り込んでくることも。

 

一年に1回くらいあります。

 

もう親子の縁を切ったのに、何故思い出させるのかとか。

子供たちに散々迷惑をかけておいて、まだ迷惑をかけるのか、平穏に暮らさせて欲しいのに行政は鬼なのか。

あんなやつ、見捨てて欲しい、保護なんて受けさせないで欲しい。あそこまで酷いことをして来て今更まだ生きたいのか。

絶対金輪際連絡をしてこないで欲しい、本人に自分たちがどこにいるかも生きているかも教えないでほしい。

今回の照会で心に深い傷を負った、福祉事務所に損害賠償請求する。

 

など、まぁ挙げればキリがありません。ここに書けないことも言われたりしました、それこそ名誉毀損じゃないかなと思ったこともありましたが、まぁ仕方ないですね。

 

そんな訳ですが、安易に扶養照会しろなんて言えない訳です。苦労多くして実りのない作業ですを

実際この親族からのお叱りでけっこう病んでしまう職員もいたりします。仕事とは言え、我々も楽なものではありません。