生活保護ケースワーカー奮闘記

令和時代に福祉事務所のケースワーカーとして働く公務員の皆さん、またその関係組織の方々に関する情報を提供します。

ケースワーカー役割 その7

CW業務でまた判断に迷うのが、別の機関からの「迎えに来てください」お願い。

 

これまであった事例が、

市役所窓口で住民票の発行ができないと怒鳴っている。迷惑だからCWが迎えに来い。

受給者が病院で診察内容にクレームを窓口で行っている。迷惑だからCWが迎えに来い。

客が店で万引きをして捕まえた。身元引き付け人が必要。聞けば生保受給者、CWが迎えに来い。

深夜、泥酔している者を路上で保護した。警察にいるのでCWが迎えに来い。

頭がはっきりしていない高齢者を駅で保護した。どうやら受給者、CWが迎えに来い。

 

まだあったように思えますが、一年業務やっていると何かしら相談(という名のぶん投げ)があります。

 

これは相談の場合、CWは全て対応すべきでしょうか?答えは、しなくていい、です。こう答えると、薄情だな、受給者を指導指示すべき等反論されますが、特に私の場合はこう答えます。

 

「じゃあ、他の市民の方はどうしているのですか?同じように家族親族がいなく、同じ状況になることあったら、どう対応していますか?」

これです。

 

勿論、受給者のことが心配でないわけではありません。ただ、なんの専門家でもない福祉事務所の職員が一人現場に行っても、何もできません。むしろ状況が悪化することの方が多いです。

 

おおよそこのようなトラブルが起きていると、受給者もかなり頭に血が上っているので、仮にCWが現場に行っても、受給者から「何故来た!!??!!??お前なんてよんでない!!帰れ!!!」と言われることがあります。

 

高齢者の認知症が進んでしまっている方の場合、これは近くであれば迎えに行ったことはあります。ただこれも、迎えに行ったところで何もできない場合があります。例えばフラフラしているところを保護された。家の鍵がない、家に入らない、それであれば福祉事務所の職員が行くより、そのまま警察が一晩保護してあげる。または病院に入院を勧めるが適切です。

 

CWが行ってしまうと、その時点で関係機関からCWへ引き渡しとなり、その後何もしてくれません。これが本当に怖いのです。

 

例えば、徘徊していた高齢者の場合。警察にいながら、この高齢者をどうしたらいいのか途方に暮れます。実際に過去、何度か同じことがあり、警察にいながら救急車を呼んだことがあります。警察は何かする義務はないので、CWが警察から電話をし、救急隊に事情説明、そのまま入院となりました。

 

市役所や病院窓口でのクレーム、万引き、泥酔ならば、これこそ警察の出番です。状況が悪いならそれこそ業務妨害、窃盗、迷惑行為で警察のお世話になります。勿論、そこから先の対応は警察になります。そして警察から迎えに来てと言われても、まぁ行く必要はありません。最終的に警察は自宅まで送り届けるか、警察署で釈放されておしまいです。

 

実際、このように理屈がわかっているとCW業務はかなり負担が減ります。分かっていないと、言われたこと全て自分が引き受けなきゃいけないと考えてしまい、毎日動き回ることになります。周りの先輩職員や査察指導官に相談をすることで、する必要のないこと、ここはする必要があると判断を仰ぐことは、自分の負担を減らす意味からも必要になります。

 

もちろんこんなに問題が起きることはそうありません。ただ、起きる時は連続して起きるので、対応を知っていることが大事です。

 

関係機関は全て福祉事務所、CWが対応すべきとぶん投げてきます。それは、過去に同じ事例の際、CWが対応してしまった例があるからです。昔は良くても、今は出来ない、これはあって当たり前です。CWは受給者の家族でもなんでもありません。昭和の時代、平成初期はこの境目がやや曖昧だったこともあったようですが、今は令和です。是非とも知識、対応策のアップデートを図りましょう。