生活保護ケースワーカー奮闘記

令和時代に福祉事務所のケースワーカーとして働く公務員の皆さん、またその関係組織の方々に関する情報を提供します。

生活保護と不正受給 その10

結構一つのネタにしては長くなります不正受給編。

 

CW時代に、しまったなぁと言う気持ちと、なぜもっと家庭内で話をしてくれないのか、と言う気持ちにさせられる出来事として、高校生のアルバイト収入です。

 

生活保護世帯は同一世帯内の世帯員であれば、誰であれ収入申告の義務があります。これは、0歳の赤ちゃんであってもです。実際には赤ちゃんであっても児童育成手当などの収入があります。たまに、手当は収入でないと言う誤った認識の方もいます。国や地方自治体からの手当であり、年金や就労収入ではないと言い張る人もいます。

 

あくまで給与年金ではないだけです。課税もされませんが、生活保護制度ではどんなお金であれ、外から入ったものは全て収入になります。赤ちゃんの場合は流石に家族で代筆をします。中学、高校くらいからは直筆の子もいます。

 

さて、そんな高校生のアルバイト収入。一般的に高校生、義務教育を終えた年齢以上の受給者は稼働年齢層に当たり、その持っている能力を活かして就労する必要があります。なので、学校にも行かない人は高校進学できる15歳から働いたりします。高校進学せず働く世帯員はあまりいませんが、未だに進学か就職かと考える世帯はいます。

 

高校進学となれば、担当CWはできる限り高校進学した際に使える制度、金銭的支援の内容を親と一緒に聞いてもらうよう面談の機会を設けます。その時に、高校生になってアルバイトをしたら、必ず収入申告してねとお願いします。上に書いているように、たとえ子供であってもお金を得たらそれは収入です、申告の義務があります。

 

生保受給世帯の子供はアルバイトもいけないのか?!と言われることがありますが、そうではありません。

しても構いません。ただ、申告をしないといけないだけです。

 

ここでも、申告を怠る世帯が出てきます。小額では申告はいらないと言われた、高校生は申告が免除されるなどなど。そんなことは一言も言わないでしょう、伝聞やネットの憶測などで考えるのがとても危険なのが生保制度です。

 

高校生のアルバイトで認められるのは、通常の基礎控除に加えて未成年者であれば未成年控除があります。大体ですが、基礎控除と合わせて25000円程度は手元に残せます。通常の基礎控除に加えての未成年控除なので、やはりアルバイトをすれば足しになるのは間違いないです。

 

そこに加え、更にそのアルバイト代を何か世帯の自立助長に役立てる目的があるなら、自立更生のための免除があります。要は、アルバイト代は○○のために使うから、収入認定しないでくださいと、働く前にあらかじめ福祉事務所に申し出しておくのです。

 

よく利用するのが、大学の受験料、入学金のため、一人暮らしするためのお金、就職のための準備金、運転免許や資格取得のための費用などでしょうか。大学進学のため、自分で費用を稼ぐ高校生は少なからずいます、非常に頭の下がる思いです。

 

こう言った必要のある費用に充てたい場合は保護費の減額調整が掛からないようにできます。勿論、働く前に言わないといけない、貯める目的をきちんと明確にして、福祉事務所が承諾しないといけない、また貯めている最中に使ってしまわないように定期的に貯めている通帳残高の報告なども必要になります。

 

結構手間暇かかるのですが、予め受給者世帯に説明をして資料を出してもらうなどをすれば、後々の課税調査で双方嫌な思いをしないで済むことになります。

 

高校生のいる世帯では、福祉事務所もそれなりに親身になって、将来を考えていかないといけない場面も多いです。大学進学か、専門学校か、働くのか、いずれにせよ高校生が何もできずに卒業しないように定期的な助言をしています。

 

まだもう少し続きます。