何故、福祉事務所で未申告収入を把握できるか、それは毎年行われる課税調査を実施するからです。
例えば就労収入について。自治体に住民票があれば、その者の就労している企業は給与支払いに対して、一定率の税金を掛けていることが多いです。所得税が一番多いです。その他ですと社会保険料なども税制の控除対象なので、該当します。
この税金関係をきちんと支払い給与に掛けて、きちんと企業が税務申告していると、支給対象者の情報が自治体に集まります。自治体はその人その人の税務情報を元に住民税を決定していくのです。
福祉事務所はこの税務情報を自治体の税務課、課税課から取得し、福祉事務所に来ている収入申告額と合致しているか確認します。
普段きちんと収入申告している受給者であれば、福祉事務所に対しての申告額>課税対象額となるはずです。
課税課のデータはあくまで課税対象額なので非課税項目は抜かされます。一方、福祉事務所への申告額はその収入全てを認定、そこから基礎控除や必要経費を差し引いて保護決定をするため、必然的に福祉事務所の方が金額が大きくなる傾向にあります。大体多いか、ぴったしになります。
福祉事務所への申告額の方が課税情報より大きければ問題ありません。
逆であると、一旦全ての明細を確認、どこかで間違っていないかをしっかり見ます。ただ、毎回きちんと明細を見てたりするので、余程のことがないと間違えはしません。
申告が全くない収入で課税調査が引っかかると、99%本人の就労収入だと考えます。
毎年ですが、該当する者を見つけるたびに愕然とします。またかぁ、なんで言わないんだぁ、という気持ちになります。
福祉事務所に黙って就労する、これは収入申告の義務を果たさず不正に保護費を得ているためかなりネガティブなことです。
働けるならしっかり働き、保護脱却を目指すべきと私は考えますが、なぜか中途半端に働いて、しかもその言い訳、働いた理由もあまり褒められたものではありません。
勿論これは年金も同じことが言えます。時折、年金加入期間が短いから年金もらってません、もらえませんと考えていた受給者が、実はこっそり年金をもらえていて、その分を未申告であったなどは過去に多くあります。
特に確定拠出年金制度の年金、いわゆる企業年金などはその企業団体独自の年金制度なので、時折見落としてしまうことはあります。
最近では年金加入期間が10年に短縮されたため、より多くの高齢者が受給権を得ています。勿論金額は減っていますが、、、。
ここ数年はかなり福祉事務所でも、年金加入記録をしっかり調べる体制になっています。年金は他法優先の原則で、もらえる人はしっかりもらう必要があります。
では次は、課税調査で発覚した未申告収入に対しての対応です。