生活保護ケースワーカー奮闘記

令和時代に福祉事務所のケースワーカーとして働く公務員の皆さん、またその関係組織の方々に関する情報を提供します。

生活保護と不正受給 その11

高校生のアルバイトについてはまた別記事で書きますが、どの世帯でも子供に対してどのように生活保護を理解させるかが難しいところです。

 

親が積極的に、自分の家は生保受給していることを言うところはあります。非常にデリケートな内容ですが、やはり自分の家がどう言う状況なのか、子供も理解しておかなければならないと言う方針のようです。

 

また、代々生保受給をしている家もあります。これも非常に難しい話なのでまた別記事にしますが、こう言う世帯の場合は自然と生活保護を受けることに抵抗はないようです。

 

問題なのが、親が子供に生活保護世帯であることをひた隠しする場合。たまにあります。子供に生保受給のことを知られたくない、福祉事務所からの手紙や電話、突発的な訪問はやめて欲しいと言われることがあります。福祉事務所としては、やはり半年に一回ぐらい、世帯員全員と面談の機会を持ちたいところですが、これも拒否されることがあります。

 

勿論、自分のところが生保受給世帯であることを知っておかねばならない、というルールはありません。

 

ただ、このような世帯でやはり子供がアルバイトをして、それを親が申告しないと課税調査で該当し、同じように不正受給となってしまいます。かなり難しいと思います。子供としては、何故自分の稼ぎを親に毎回言わないといけないのか、何故全て使ってはいけないのか等疑問が出てきます。

 

一度だけ、高校卒業まで本当に隠し通して、母親が正社員になって就労自立した世帯がいました。このように早期に親が仕事に就いて、世帯全体の稼ぎを持ち生保脱却すればいいのですが、これもかなり困難ではあります。

 

いずれにせよ、生保受給の事実を知らない高校生の子供のアルバイト収入が課税調査で該当してしまった場合、この返還処理は困難を極めます。毎年同じように課税調査で該当する、不正受給を繰り返してしまう。しかし、当の親は何も子供に説明せず、また福祉事務所も説明を含む対応ができない。一番難しい状況になります。