生活保護ケースワーカー奮闘記

令和時代に福祉事務所のケースワーカーとして働く公務員の皆さん、またその関係組織の方々に関する情報を提供します。

生活保護と不正受給 その12

課税調査で未申告収入が見つかった時に、まさか??と思うことがあります。全然引っかからない人がある時、課税調査に該当してしまうケースです。

 

課税調査はその受給者の状況によって不正受給と見なすか、単なる収入申告の遅滞と見なすかでその対応が変わってきます。

 

大体ですが、法第78条による不正受給、返還請求になりますが、その申告がとても困難であったら場合によっては法第63条による処理になることもあります。

 

例えば、働いていたが途中で体調不良、数ヶ月間入院してしまって危篤状態であった、その後回復したが退院後も体調安定せず、ズルズルと治療、いつしか申告の時期を逸してしまっていた。その間、担当も変更になってしまったなどの場合。流石に福祉事務所にもちょっと把握しきれなかったかな?という事情があれば、これは収入申告の遅滞での処理になる余地はあります。本当にこの例は経験あります。元気に働いていたおじいちゃんが、ある時倒れてそのままICU入院。そのまま意識は戻るも居宅生活不可となり施設入所、当然就労先も退職してしまいました。

 

その翌年、担当も変わったところで課税調査を見たところ該当してしまっていた。施設の人に事情を話して、なんとか本人の通帳を確認すると確かに最後の給与が振り込まれていました。本人には、あの時会社にも迷惑かけちゃったなぁ、と寂しそうに話していました。

 

流石にケース診断会議では、不正受給ではなく63条の収入申告の遅滞による返還金、確か返還金も2000円ぐらいで済んだところです。1ヶ月だけ申告がなかったので、保護費の返還も大きく出なかったのが幸いでした。

 

福祉事務所のCWも受給者から収入申告をきちんともらっているか、表などを使って回収の管理をしている人もいます。私も漏れがないように、この人から何月分のものをもらっているなどの進行管理表を作っていました。遅れている人がいれば、電話や訪問で最近どうしました?と働きかけることもあります。