生活保護ケースワーカー奮闘記

令和時代に福祉事務所のケースワーカーとして働く公務員の皆さん、またその関係組織の方々に関する情報を提供します。

ケースワーカーの役割 その4

CWとして大変な業務の一つとして、他法制度の理解があります。生活保護は最後のセーフティーネットと言われているように、ありとあらゆる制度を使ってもなお生活できない時に活用するものです。そのため、他法制度を使わず単に保護費を出し続けるのは得策ではなく、様々な制度を併用していく必要があります。

 

また、他法を使うことで生活の質が向上したり安定したりするので、福祉事務所が積極的に受給者に対して他法活用を働きかけることも必要になります。

 

例えば高齢者で独居生活が難しくなって来た場合、CWが介護保険制度の知識があればこの受給者に対して介護認定、サービス導入の働きかけができます。包括支援センターの職員さんと引き合わせたり、一緒に説明をすることで受給者も理解が深まります。

 

また、障害世帯であれば、CWに障害福祉サービスの知識があることで、この者に障害福祉サービスの導入を働きかけたり、B型作業所への通所を提案することができます。

 

確かに何もしなくても保護費だけ出していけば生活はできます。しかし、それだけでは生活の自立には繋がりにくいです。また、生保受給者には社会との断絶が目立つ方も多く、なかなか自分自身でこれらの制度の理解をすることも難しいです。外部、福祉事務所からの刺激があることで耳を傾け、自分の問題として認識する人もいてくれることから、他法の知識があることで幅広い仕事をすることができます。

 

さて、他法制度の理解は他にも利点があります。

 

例えばずっと精神疾患を抱えていた受給者、しかし精神保健福祉手帳の存在を知らず生活をしていたところCWから取得を勧められました。主治医に相談したところ、取得できる、何故今まで取得していなかったのかと言われたそうです。

 

手帳申請は別の地域福祉を担当する部署、審査は都道府県で行いますが、申請すると数ヶ月でその等級が決まります。手帳を持つことでバスを半額で乗れるようになったり、公共施設の利用料が半額になったりします。

また、等級が2級、1級と重度になると生活保護の保護費に加算がつくようになります。他の受給者に比べて支給される保護費がプラスになるのは非常にメリットがあります。

 

勿論、全ての精神疾患で重い等級が出るわけではありません。鬱病パニック障害、不安障害のよう障害だと3級、統合失調症の状態が長く続くと2級、のような傾向はあるそうです。具体的には医師の診断書と都道府県の審査会で決定されるので、福祉事務所で何か等級を決定することはありません。

 

精神疾患を抱えられている方だと、例えば過去に手帳の話をしてもその時に体調が悪くて話が頭に入らないこともあります。タイミングを見て本人に提案することもCWとして必要な支援になります。

 

勿論、最初から他法を知っている必要はないのです。それは、担当する受給者は以前も別の担当者で支援をしていて、その時に必要な他法精度を活用している可能性があるからです。ただ、取りこぼしがあったり、ある時担当受給者が他法活用に該当してくる場合もあります。その時に迅速な支援ができるよう、日頃から学んでおく必要があります。