生活保護ケースワーカー奮闘記

令和時代に福祉事務所のケースワーカーとして働く公務員の皆さん、またその関係組織の方々に関する情報を提供します。

移管を断る福祉事務所の対応 その1

自治体の中で生活保護を受けている人が何かしらの理由で転居をして、自治体の外に出てしまうことがときあります。

 

例えば、高齢で市内に物件が見つからずたまたま範囲を広げたら隣の市の物件であったり。

精神疾患で入院をして、やっと症状が落ち着いたのちの退院の際、同じ病院に通院を継続することが必要になって、病院近くに住むようになったり。

(大体はこの二つになります。これはもう、ある種仕方のない理由です。)

 

その場合、生活保護を受けるのはどこの自治体でもできますので、転居した先の自治体に同じように生活保護を受けられるように福祉事務所間で調整をすることがあります。これを移管手続きと言います。

 

この移管手続きをすることで、生活保護受給期間に切れ目がなくなります。ブランクがなくなることで、特に医療費や介護費といった目に見えない費用負担を福祉事務所間で負担しあえるので、受給者にとってはとても必要な制度になります。

 

特に通院をずっとしている人の場合、仮に生活保護が転居によって廃止になってしまうと病院に行けません。特に月中に廃止になってしまうと、医療機関は既にある医療券がそのまま有効だと考えているので、その後の医療費請求をいつも通り福祉事務所にしますが、その時に保護が既に廃止になっているとなると、診察等のお金が取れなくなり大トラブルになります。いわゆる無保険状態になります。

 

また、生活保護が廃止になると一般市民と同じ扱いになるので、そのほかの制度にも影響が出てきます。年金保険料の免除などもあります。

 

こういった世の中に対する影響からも、基本的には転居を理由にすぐに廃止をしないことになります。

 

しかし、自分の自治体にもういない、いわば外の人に対していつまでも自治体の税金を支給するのも違います。生活保護はその現住所地にて保護を適用する制度なので、違う自治体にいけばそこの生活保護を受けるのが原則です。

 

このために事前に福祉事務所間で連携しあっておくことが必要になります。今度、〇〇に引っ越す受給者がいます。引っ越し終わってきちんと生活できるようになったら移管します、というやつです。これは本人が直接次の福祉事務所に連絡するのではなく、原則は前の自治体のケースワーカーから、次の自治体の福祉事務所に連絡をします。

 

しかし、ここでなかなか手続きがうまく行かないことがあります。