生活保護ケースワーカー奮闘記

令和時代に福祉事務所のケースワーカーとして働く公務員の皆さん、またその関係組織の方々に関する情報を提供します。

水際作戦について考える

最近、総理大臣の発言などで凄い生活保護がピックアップされてきます。生保業務についても理解を示してほしいが、そう言うことではないので市役所のケースワーカーさんをもう少し優しく扱ってほしいです。

 

さてはて、Twitterなどで生保申請の際の水際作戦が話題にもなっています。物凄い勘違いされている方がいるので、ここらで一つ、生保の申請と相談について。

 

まず、皆さんが生活に困ると何をするでしょうか?なんとかできないか考えます。仕事を変えたり、家を売ったり、家財そのほかを売ったり、引越ししたり、保険を解約したり、親族弟妹姉妹から支援してもらったり、友人知人にお金を借りたり、金融機関からお金を借りたり(借りるばっかりだなぁ)、ご飯をもらったり、まぁ色々あります。

 

それも出来なくなると、次に考えるのは、もっと誰かなんとかしてくれないか?だと思います。これは、多分国や地方自治体と言った、自分とこれまで関係のない人たちからの支援を考えるでしょう。

 

で、一番分かりやすいのが生活保護なんです。

何故か。昔からあるからです。

 

しかし、生活保護は知っての通り、この国で用意した最後のセーフティーネットなのです。最後、ってところが大事です。

 

最後って何か。当たり前ですが、これより他に選択肢がない場合を言います。

 

よく、水際作戦誰と言う人たちは、まだこの選択肢を取らないで済む場合。

 

もっと言えば、生保受けようと思ったら、まだなんとかなる状態であったことを、不満に思うのかなぁと言うのはあります。

 

まだ余裕がある、ということです。その余裕の物差しは人によって違いますが、生活保護の世界ではある程度目安があります。

 

単にお金がない、のではちょっと弱い。何故なら、日本には1日でその日のお金を稼ぐぐらい、まだ出来る仕事があるからです。

 

医療が受けられない、これもちょっと弱い。何故なら日本では無料の医療を受けることが難しくない。

また、日本の保健制度を使えば、大体3割の医療負担なので、全く払えない程度の傷病はむしろ珍しいことです。

 

大体は、他の制度を知らないで漫然とお金を払ってしまっている場合があるからです。医療制度で言えば高額療養費制度を使えば、大きな医療費の支払いはなくて済みます。大変なのは、この制度を知らず、ずっとお金を支払ってしまっている場合です。

 

そのほか、各種の支援制度が山のようにあります。この国には、リーマンショック以降、沢山の生活困窮者に対する支援が生まれています。

 

ある程度体が動いて、働く力があれば、やはり生活保護に来る前になんとかなってしまう国です。

傷病を抱えてしまっていると、ちょっと大変かなと思います。働く力がある、その体力があることがとても大事。

 

そして福祉事務所やその他支援制度を受け持つ場所では、まず生保制度ではなくそれら支援制度を山のように紹介していきます。

 

この世界に来なくて済むように、です。

 

一度来てしまうと、もう途中下車は難しい。そんな制度です。よく、体が治ったら仕事を見つけたい、少しの間受けたいと言ってくる方がいますが、そんな甘い世界じゃありません。

 

無理に仕事を探さなくても最低限生きていけてしまうのです。最低限に慣れてしまうと、まぁこんなもんでいいかというバイアスにかかり、ずっと仕事をなんとなく探す、なんだ、頑張らなくても生きていけるんだってなり、簡単な、楽な仕事を探すようになります。

 

もちろん個人差はあります。それはごめんなさい。

 

ただ、この世界に来ると、これまでしなかった選り好みが発生することは確かです。

 

前にいた企業はブラックだった。今度はホワイトなところ。

前にいたところは体が痛くなった、今度は痛くないところ。

前にいたところは人間関係が悪かった。今度はみんないい人がいるところ。

 

今まで気にしなかったことが、どんどん気になってしまう。あれ?仕事をするのではなく、仕事を探すことが仕事になってしまっている、そんなことが沢山起きます。

 

続きます。