生活保護ケースワーカー奮闘記

令和時代に福祉事務所のケースワーカーとして働く公務員の皆さん、またその関係組織の方々に関する情報を提供します。

生活保護と不正受給 その8

不正受給は主に課税調査での発覚が主ですが、たまに外部からのタレコミもあります。

 

福祉事務所に匿名で電話、メールなどが入ってくることがあります。○○に住む人だけど、昼間から福祉事務所に内緒で働いていて月10万円稼いでいます、そんなことが許されるのですか?のような内容です。

原作、その対象者が保護を受けているか否かは回答できません。そうですか、情報ありがとうございましたで終わります。

 

しかしこのタレコミ、かなりの確率で当たります。恐らく受給者の友達、悪友に対してぽろっと意気揚々に語っちゃうんでしょう。福祉事務所なんてちょろいもんだ、真面目に働いたって意味ない、働いたって黙ってりゃ分からないと言う感じで。

 

これ、その話を聞いている人が同じ受給者でも一般の市民でもあまり気分の良い話ではありません。

 

お天道様に顔向けできないようなことはやらないほうがいいですね、どこで分かるか分かりません。

 

さて、返還対応も決まって指示書も出しました。ではこの返還金、きちんと返ってくるかと言えば、、、悲しいほど返ってきません。特に法第78条で返還対応とした不正受給について、我々福祉事務所は、返してくださいと言う指示しかできません。返せないものは返せないと突っぱねられると、なす術がありません。

 

これが生活保護の甘い部分でもあります。あくまで最低生活を維持するためのお金なので、そこから強制的に徴収して生活が成り立たないのであれば、本末転倒です。

 

勿論、強制的に徴収する制度はあります。しかし、これも本人の同意が必要で、同意がなければ強制的に保護費から引くことができません。やれば、行政手続きに対する審査請求などが出る可能性は高いです。

 

なんだこの制度って言われて仕方ないと思います。なんでこんなに甘いのか、それも分かります。それがこの日本の制度なのです。

 

この不正受給を何度も繰り返す人は、やはり保護停止廃止手続きをしていきます。ただそれも多くありません。我々は警察でも裁判官でもないので、悪い人を逮捕したり有罪判決することはできません。福祉事務所は生活困窮者に対しての支援なので、そこにも限界があります。

 

たとえ不正受給で保護廃止をしても、数日ののちに生活困窮しています、保護受けたいですと言われれば申請を受けることになります。

 

あ、補足ですが。

よく、給与手渡しでもらっていれば気付かれないと言う受給者もいますが、半分正解で半分誤りです。

源泉徴収されている場合は関係ありません。課税調査で分かります。

本当に日雇いでお金もその場でもらってさよならなら分かりませんが、そこまでして稼ぎたいのか?と思うこともあります。それなら保護抜ければいいじゃないか?とため息をつきます。

 

まぁ、マイナンバー制度がもっと発展して、給与に対してすべからく紐付けされたらもう少し不正受給も減るかもしれませんね。