生活保護ケースワーカー奮闘記

令和時代に福祉事務所のケースワーカーとして働く公務員の皆さん、またその関係組織の方々に関する情報を提供します。

ケースワーカーの向き不向き その3

たまーに、いや、それなりにいるのが、生活保護受給者に対して高圧的な態度を取ってしまう職員がいます。生活保護業務というのが、市役所業務でもあまり例のない、対人援助かつ直接に保護費(金銭)を支給する仕事であり、その対象者と密接なやり取りを行う場面が多くあります。

 

生活保護制度は基本、申請主義なため、受給者から何かしらのアクションを持ってその保護費の支給を決定していく場面も多いです。そうすると、受給者としては必然的に担当ケースワーカーと話をしたりする機会が多く生じます。

 

また、過去にも記載しているとおりですが、福祉事務所への勤務は基本人事異動で行われます。多かれ少なかれ、希望した職場でないこともありますので、その職員のモチベーションの維持なども難しい場合があります。中には生活保護受給者から、何となくわがままに聞こえるような質問(要求)もあったりしますので、そういう時にどうしても寄り添った対応ができない職員も出てきます。

 

市役所に務める職員がいつも、どんな時もニコニコと市民の要求に応えるべきとは全く思いません。行政サービスと言いながらも、当然こちらも人間なので、相手からの話ぶりや言い方なのでムッとすることはあります。

 

勿論、職員も色々な者がいます。穏やかな人もいれば短気な人もいます。言い訳になってしまいますが、今日体調の悪い職員もいるし、ペットが亡くなって悲しみのどん底にいる場合もあります。

 

まぁ、窓口に来る市民にとってはそんなことはどうでもいいのですが、100%のパフォーマンスで対応できない場合もあります。これはコンビニの店員さんでも、どこかの大企業の社長さんでも同じかと思います。言いたいことは、市役所職員だから、行政サービスだから、税金で食っているのだから、大人しく市民の言うことを聞け、ということはちょっと違うかなぁと言う視点です。

 

さて、そんな多少の職員の養護をしつつ、どうしても養護をしきれない職員もいます。どんなに説明をしても、高圧的な態度を取ってしまうケースワーカーはいます。これは否定をしません。

 

過去に部下に対して、「君はどうしてそんなに受給者に対して厳しい物言いをするのか?相手も辛いし、自分も辛くないか?」と質問をしたことがあります。しかしその部下は「これが自分の話し方で、スタイルです。受給者だから、ということはありません。」と言われてしまったことはあります。

 

要は、本人としては当たり前の対応をしているという気持ちなのです。うーん、分からんでもないが、どうしても気弱な受給者からはクレームや、担当を替えてほしいほしいという話も出てきてしまいます。この職員はほかの職場でも同じように、いわゆる「塩対応」なところがあり、市民との窓口対応をあまり得意とせず、今は市民と直接関わらない職場に配置されています。

 

また、明らかに攻撃的な態度を取る職員もいます。これも聞いてみたのですが、この者は全く生活保護制度に理解・納得が持てず、生活保護=無駄遣い、と考える職員でした。そういう職員を何故配置したのか、と人事部に言いたいところなのですが・・・まぁ、配置しないと分からないこともあるので、本当に職員にとっても受給者にとっても運がなかったというところでしょうか。

 

その職員は結局、1年で配置換えで別の経理部門へ異動していただきました。

 

大きい母体になると、どうしても生活保護業務に馴染めない職員は出てきます。みんながみんなオールマイティーに対応できる職員ではありません。また、国では「生活保護業務には福祉大学を出ている専門職を充てるべき」という話もしていますが、福祉職であっても生活保護業務に馴染めるかは、未知です。

 

時折、福祉職でも「私は身障専門でやりたかった。受給者対応はしたくない。」という中堅職員はいます。逆に、一般職であっても、かなり慣れてしまい、10年選手になる者もいます。

 

いずれにせよ、受給者対応は非常に難しい(精神的に)場面も多く、どうしても職員の向き不向きに左右されてしまう面は大きいです。