生活保護ケースワーカー奮闘記

令和時代に福祉事務所のケースワーカーとして働く公務員の皆さん、またその関係組織の方々に関する情報を提供します。

引き継ぎ訪問以降の訪問

恐らく新年度になり、引き継ぎ訪問も終えてなんとか業務をこなしている時期かと思います。50から80人ぐらいの受給者と一度に会うことなど、ワーカー経験では、本当に一番最初の異動の時ぐらいです。顔も声も、下手すれば家の入り口さえ覚えられないと思います。

 

さて、ここで困るのが2度目の訪問にいつ行くべきか。

 

自治体によっては、引き継ぎ訪問は年間の訪問実績にカウントしない場合もあります。そのため、早期にもう一度行く必要があります。勿論業務の優先順位を立ててから行動すべきですが、なるべく4月中に行動をしていくと、記憶があるうちなので非常に定着しやすいです。

 

また、受給者には、担当替えに抵抗を覚える人もいます。そのため、先に訪問しておくとハレーションが少ないこともあります。私は過去、前任から、ちょっと大変な方です、、、と言われ、訪問も行きそびれていたところ、福祉事務所にいきなりいらっしゃり、なぜ訪問に来ないのか!??と怒られたことがあります。

 

勿論、時間を掛けて行けば良かったのですが、これは少しミスをしたなと思いました。ただ、話してみるとそれほど抵抗感はなく、その後上手く支援を行えた方でしたので、あまり前任の意見も当てにならないなと思いました。

 

4月ではなく6月の年金改定月、収入申告を受け取りがてら行くというのも昔からの常套手段です。私的には少し遅い気もしますが、ここで高齢者世帯を一気に訪問するのも、メリットがあります。

 

また、資産申告と併せての訪問もあり得ます。資産申告書、毎年本当に嫌なのですが、これも一つの訪問調査なので、漏れのないようにしておきたいです。

 

ただ、夏場の訪問は非常に過酷です。暑すぎて受給者も家にいなかったり、訪問の道のりに苦しむ場合があります。また、梅雨の時期も雨の中に訪問になるのでこれも辛い、、、。

 

次の保護費支給日にはそれなりに受給者とも対応が進んでいると思いますが、例えば所払いの際に、いついつお家行きますね!と勢いで約束するのもありです。

 

いずれにせよ、計画的に訪問することをお勧めします。

風呂無し物件と生保受給者

巷では若者の風呂無し物件人気が高まっているとかの記事を見ることがあります。風呂無しだと家賃が安く、ほかの費用に当てることができますお得だという、何とも世情を表している風に思えます。

 

生保受給者でも風呂無しアパートを転居先に選ぶ方がいますが、結構ワーカーとしては再考するよう伝えることがあります。一般的に風呂あり物件に比べて安いことはありますが、それ以外のデメリットが大きすぎるからです。

 

まず、銭湯に行くお金が非常に高いという点。世間では銭湯の経営が立ち行かなくなり閉店が相次ぐ地域もあります。生保受給者の場合、基本的に自己判断での転居ができないこと(困難なこと)から、銭湯が閉店すれば入浴の機会が失われることになります。最初はいいや、と思っていても入浴も一つの習慣として生活に取り込むことで自立助長になるとは考えます(この辺り個人差はありますが)。

 

特に就労をする場合は、やはり他者との関係性もあることから不潔な状態での勤務というのは社会人としてNGと考えます。

 

ただ、風呂がなくて就労ができないから転居させろ、は福祉事務所としても許可はできない時間かと思われます。

 

なお、若年層世帯であればシャワーがあればいいとは考えます。高齢者の場合ですとやはり年を取ったり怪我や病気をした際に入浴がしづらくなる、という点が難しいところです。高齢者の場合であれば介護支援を受ければ入浴デイサービスなどの利用も考えられますが、日常で風呂に入らないというのもちょっと辛いという方はいらっしゃいます。

 

また、風呂がないと全体的に手狭な住宅になりがちです。よく、持ってきた賃貸物件の案内を見ると、風呂なしで家賃が生保基準、ただし面積が足りていないという場合もあり、満額住宅扶助が出せないというケースもあったりします。

 

いずれにせよ、単に安いから風呂なし物件を選ぶというものワーカーとして、再考を促すことも必要かと思われます。

またやってくる新年度

自治体の異動内示も出て、4月から福祉事務所のケースワーカーになる方もいらっしゃると思います。希望して福祉事務所は異動した方、全く希望していないで移動となった方、どなたにとっても4月は非常に気持ちが落ち着かないことでしょう。

 

私も4月のいきなりの保護費の支給日、所払い日は結構慌ただしく受給者と対応をしています。この日は前のケースワーカーが、次のケースワーカーと担当受給者を顔合わせさせることも多く、福祉事務所にかなりな人数がいる状態になります。どうしたらいいか分からず、ただ受給者に会わされ挨拶するや、いきなり怒られたりすることもあります。

 

私は昔、お金の渡し方がなってないと物凄い怒られたことがあります。右手で封筒を渡すのではなく、左手で渡せ!!きちんと引き継ぎ受けてないのか?!と言われました。意味が分からなかったのですが、どうやらその方にとってはそう言う決まりだったそうです。

 

稀だとは思いますが、この最初の所払い日に精神的にダメージを受けてしまい、その先のケースワークが憂鬱になってしまう人もいます。

 

しかし、どんなことも最初は初めてのことばかりなので、あまり気にしないでください。本当に、半年、一年とやっていくうちにそれほど大変なことは、、、、、減ってくるはずです。いきなりは何もできない職場ですので、なるべく自分のペースで頑張ってください。

 

毎月の経理処理、支払をまずこなすこと、これだけやれば基本大丈夫です。あっという間に1週間、1ヶ月と過ぎていきます。毎日本当に大変ですが、できない時はぜひ周りを頼ってください。1年先輩でも2年先輩でも構いません。逆に周りは、初めて福祉事務所に来た新人さんや異動者に是非、優しくしてください。

ケース記録の書き方

ケース記録はおそらく誰もが一度は書き方に悩むものかと思います。一体何を書けばいいの??全部事細かに書かなきゃいけないの??など、様々です。

福祉職などでは大学で記録の書き方についても学ぶようですが、若干足りないなぁと思うこともしばしば(教授のお伝えされたいことと、生徒の受け止め方はいつも、少しずれがある気がします)。

 

一般的にケース記録は、受給者の普段の様子や福祉事務所、居宅訪問時での受け答えなどを中心に簡潔に書き記しておくことが必要です。また、何かしらの保護決定をする際にも当然、記録に記載をしておかないと経理処理ができません。

 

一番大事なのは、その1年間の記録を元に援助方針を作成するので、内容としては受給者への援助のことを書かないと意味がありません。

 

平成20年ぐらいまででしょうか?あまり生活に変化のない受給者ですと、引き継ぎ訪問へ行った、次にいきなり年度末の基準改定が行われて、それで1年間終了などのケース記録が散見されていました。これでは一体、1年間受給者にどのような支援を行ってきたかが分かりません。当然、援助方針も立てようが立てられません。

 

ただ、このようなケース記録は悲しいかな、未だに散見されます。特にある程度歳を重ねたケースワーカーですと、これが常態化してしまい、何も書かないと言う人もいます。別に全てがダメということではありませんが、これでは福祉事務所としての記録としては十分ではありません。

 

ポイントとしては既に保護手帳などに書いてありますが、居宅訪問、所内面談、本人同席のカンファレンス、本人不在の何かの打ち合わせなどの場面に応じて書き方を変えていくのがベストです。

 

居宅訪問、やることがよく分からないと言う話も聞きますが、これは訪問のテクニックとして、やはり家の中の様子をある程度書き示しておくことが大事です。散らかっているのか、整理されているか、ポストの中身は飛び出していないか、お薬カレンダーの薬は減っているか、カーテンは開いているか、布団は閉まってあるか、家族の写真やらが飾ってあるとか、そう言う細かい情報が意外と活きてきます。

 

私的によく見たのは薬とテーブルの上ですかね。薬が減っているか、テーブルの上に置きっぱなしなのかとか見たりです。

 

よく、お酒のありかを探すと言う人もいましたが、本気で飲む人以外はあんまり意味がないかなと。飲む人は飲みます。

 

家の中の様子だけで数分の話はできます。居宅訪問も長くやればいいと言うことではなく、簡単な身の上話をするだけでも結構分かることはあります。

 

天気の話をするのに近いかなと。

 

行きました、特にありませんでしたはあまり居宅訪問の意味を成しません。行って何をしたか、がとても大事になります。

異動直後の段取り

福祉事務所へ異動したり、新規採用になって1ヶ月が経っていますが、頑張っていらっしゃいますか??

 

時折、この4月から5月に掛けて体調を崩されてしまう方がいらっしゃるので、職場全体で新米ケースワーカーのことを見ていく必要があります。特に、1人で抱えがちな仕事なので、査察指導官や先輩職員が目配せをしっかりしていかないと、あっという間に疲れてしまいます。

 

さて、特にこの時期大変なのは、あまりに様々なところから様々な要望を受けたり、また様々な処理をしなきゃならないところでしょう。過去にも書きましたが、福祉事務所では、初心者や研修中などといったものがなく、4月1日からケースワーカーとして働かなきゃいけないところが大変です。いきなり新規の保護申請が来たら、いきなり担当受給者が亡くなったり、入院したり、暴れたりします。

 

なんか本当、毎年思うのですが、4月ぐらいは落ち着いていて欲しいと思うのですが、思えば思うほど何かしら問題が起きるのがケースワーカーあるあるなのかもしれません。

 

すでに自信を失ってしまっている方もいるかもしれませんが、思ったほど悪い方向には進んでいません。また、ほとんどの人達は同じように、この時期かなり大変な思いをしてきました。そんな人達が、2年目、3年目となんとかやってきているので、今年初めてケースワーカーになった人も大丈夫です、まだまだやれます。

 

一個気をつけなきゃいないのが、この時期に前任の失敗、経理ミスや認定ミスを見つけたらすぐに対応すること。結構前任が3月の忙しい時期に適当なことをやらかしている可能性はあります。私も過去、何度もガッカリしてことがあります。

なので、もし何かしらの違和感を感じたら必ず周りに相談してください。

 

間違えがちなのが、母子加算や、児童手当、扶養手当や育成手当の認定誤り、年金の認定額誤り、障害手帳の等級誤りによる加算のつけ間違え、などでしょうか?

 

また、4月から世帯分離しているはずの子がまだ入っていたりすると、結構保護費に影響してくるので、子沢山の世帯については気をつけてみていくといいと思います。

福祉事務所への異動について

さて年度末。皆様にとってドキドキの異動内示も出て、いよいよ4月から福祉事務所でケースワーカーになる人も多いはず。

このブログではケースワーカーとして何をしていくのか、どんなことをやっていくのかをまとめているつもりです。少しでも異動の不安を和らげられる存在になってくれれば幸いです。

 

色々な後輩、部下にもお伝えしてきましたが、やはり行ってみないと分からないことは沢山あります。これまでの業務のように、少しずつ仕事の難易度が上がっていくわけじゃないのでとてもストレスに感じることもあると思いますが、周りの先輩や査察指導官、数々の地域資源を使って乗り越えていってほしいものです。

 

また、どうしても一定数、この仕事が合わない人もいます。そんな人は遠慮なく無理である旨、上司に伝えてください。

 

ただ、合う合わないは少ししないと分かりません。

 

なので、いきなり受給者に対して偏見を持ったり自分の常識だけを頼りにしないでください。思った以上に、考えが違ったり、世の中の生きづらさと言うものが存在することを少しでも知って頂ければ幸いです。

 

頑張れ!

面談中の録音録画について

時折、受給者と対応している中でどうしても相容れない状況が生じます。お互いの主張、福祉事務所としては自立へ向けた助言支援や、就労の指導指示などでしょうか。受給者側から言えば、例えば保護費の支給をめぐっての考えの違いなどがあります。本当にさまざまな事例がありますが、特に自分がケースワーカー時代の時に困ったなぁという例を挙げます。

 

録音録画をしたい、言っていることを他人に聞いてもらって判断したいなどと言い出す方に対して、福祉事務所のケースワーカーや査察はどう対応するか。まぁ、間違いなく、今後の支援を困難にするきっかけではあります。

 

まず、録音する側としては、相手が自分を言いくるめてこないか、適当なことを言って蔑ろにしないか、というような疑惑の念を持っていることが多いです。スタートの時点で対立状態にあると、ここからの信頼関係の構築は難しいものもあります。

 

そしてケースワーカー側でも、自分が変なことを言わないか、間違ったことを言わないかという萎縮した状態になります。

 

また、最近では自分の発言をネットなどに広められないか、という恐怖感もあります(不安感の方が正しいかも知れません)。さらに、自分の音声を不適切に加工されて、あたかも自分が言ったことかのように編集される可能性もあります。

 

なんでも出来てしまう時代なので、ちょっとパソコンを知っている人であれば簡単に音声加工をすることもできます。それで自分に有意な発言にさせてしまうことも、そんな難しいことじゃありません。

 

これは、録音された人間にしか分からない気持ちですが、なかなか気分の良いものではありません。勿論、通常の面接などで相手を言いくるめよう、適当なことを言ってしまおうなどと考えることはありません。

 

勿論、どうやったら相手に理解してもらえるか、どうすれば制度上不可能である話なのかを納得してもらうか、という考えは持ちます。これは、生活保護制度という定められたルールの中で出来ること、出来ないことがあり、おおよそトラブルになるのはこの「出来ないことに対しての要求」であることが多いです。

 

この出来る、出来ない、出来ても貴方には適用がないという話がとても難しい。そしてその要件の緩和などは法改正がなければ福祉事務所でも捻じ曲げて適用できない制度もありますので、相手にとっては理解ができないものでもあります。

 

しかし、先日も某中核市の福祉事務所のケースワーカーが受給者に対して暴言を吐いていることがネットに出ていました。その一部の経緯だけをみて、誰が悪いとは言えないのですが、30代の男性職員であればもう少し言葉を選ぶべき内容かとは思います。

たまにケースワーカーですと、確かに厳しい言い方や勘違い、先入観を持って接してしまう方もいます。これはきちんと査察ないし福祉事務所長が確認をしていく必要はあります。

 

勿論福祉事務所としても、相手型の言動があまりに強く、脅迫的な発言を受けたりこちらを故意に怖がらせようとする発言をされたりします。不当要求につながっている場合も少なからずあり、この場合は福祉事務所として、録音をさせてもらい警察への被害届を出す準備もしていくことになります。

 

こうやって書くと、福祉事務所は相手を脅かして保護を受けさせないつもりだ、などと仰る方もいらっしゃいますが、きちんとお互いがお互いの言うべきこと、配慮、ここでは大人として社会人としての言い方などをしていけば、大きなトラブルになることはありませんので、録音録画という話は出ていませんと言うことをお伝えしたいです。

 

もしかしたら、その2もそのうち書くかも知れません。