生活保護ケースワーカー奮闘記

令和時代に福祉事務所のケースワーカーとして働く公務員の皆さん、またその関係組織の方々に関する情報を提供します。

コロナウィルスの影響による生活保護申請 その1

 最近のコロナウィルス感染騒動により、経済的困窮に陥っている市民が増えています。

 今まで仕事があったけど急に自宅待機を命ぜられた、派遣切りにあった、バイトのシフトが極端に減らされた、内定取り消しになった等理由は様々です。

 市役所にも中小企業の社長さんらしき方々が、今後市役所は何をしてくれるのか、休業補償金は出るのかなどの質問、緊急貸付金の相談に来ることも多く、また信用金庫、信用組合、地銀などにも資金繰りの相談件数が増えています。

 

 このブログでは生保アパートを経営する大家さん等への応援がメインではあります。あまり生活保護制度の申請、決定には深く言及はしませんが、参考に、最近の生活保護申請状況など、どういった状態になったら生活保護申請ができるかをまとめます。

 

    ここ1ヶ月の相談、申請内容をざっと見てきますと、以下のものでした。

  •  2月にコロナウィルスの影響でパート先を解雇された。失業保険申請しているが、少額のため申請。仕事を探ているがみつかっていない。
  • 空港内のショップで働いているが、3月から国際便激減で客が来ず自宅待機中。給与が出ないので生活できない。
  • タクシーの運転手だったが、観光地に外国人が来なくなり乗車する客がいなくて売り上げが無くなった。
  • コロナウィルスのニュースを毎日見てて、気持ちが落ち込んでしまい仕事に行けなくなってしまった。クビになってしまって収入がなくなってしまった。

 

 どの理由もなんとなく分かるのですが、時折若いCWさんには「何故稼働年齢なのに、仕事がなくなった、自宅待機で給与がないからといってすぐに保護なのか?!」と疑問を持つもいます。

 確かに状況は刻一刻と悪くなっています。明日どうなるかも分かりません。

 しかし、給与が減ってきた、出勤日が無くなってきたと分かっているなら何故、他の仕事を探しに出掛けないのか。どうしてダブルワークを考えないのか。

 どうして今まで、貯金をしておかなかったのか。どうして月1万円でもいいから、貯めておかなかったのか。

 

 就職先がないという方が非常に多いですが。

 ファミレス(こちらも最近少し大変な状況ですが、まだ求人は多いです)、コンビニスーパーマーケットドラッグストア(この1ヶ月はマスクなどの騒動で大変ご苦労されているようです。)と言った接客販売業。

 出前配達ウーバーイーツと言ったデリバリー業。

 介護施設職員、デイサービスの送迎ドライバー、夜勤職員(特に施設の夜間管理人は単に緊急時の電話受けをするだけ、資格がなくても大丈夫なところは多いです。)、

 警備員、清掃業(低賃金ではありますが求人は多いです)

、、、考えてみても沢山の仕事があります。

 多少時給が安くとも生活保護を申請する前に、出来る事は沢山あったのでは???となることもあります。

  1か月頑張ってしのいで、その間に新たな働き口へ行く。とりあえず当面の収入が確保されれば、少なくとも食うに困る状況には陥りにくいです。

 

    お金がなくなると食べられない、家賃が払えないという状況になり、家賃や携帯代を滞納する人も増えてきます。今は様々な緊急相談窓口が開いていますが、中には政府の出している緊急支援策をきちんと理解しておらず、すぐに生活保護申請しましょう!と発破をかけて来る方もいます。

 

 実際、相談に来ても実は雇用先に申請すれば休業補償が受けられた、有給対応してくれた、社会福祉協議会での緊急小口現金貸付を受け、そのつなぎでコンビニの深夜バイトに入るようになったと申請をしないで良くなった例も多くあります。

 

    生活保護は申請主義で、申請をする事は誰でもできます。しかし、申請前に出来うる手段を全て取り、それでもダメな時に考える制度だと思っています。現時点で手持ち金が全くなければ、保護されてしまうのがこの制度です(貧困に陥る経緯は問いません。)

 

 次はどういう状態になれば申請をして保護決定されるかを説明していきます。