生活保護ケースワーカー奮闘記

令和時代に福祉事務所のケースワーカーとして働く公務員の皆さん、またその関係組織の方々に関する情報を提供します。

住宅扶助額は書面上の金額!うまく使う管理費・共益費

高額家賃と転居指導

 家賃は下げたくない、しかし空室が続くのも辛いとお悩みの大家さんも多くいます。

 福祉事務所としては、受給者の住むアパート等の家賃額は住宅扶助*1上限額を超えた家賃額のアパート入居を認めていません。

 

 東京都23区を例にすると、23区内の住宅扶助上限額は53,700円(居住㎡数15㎡超)となっています。例えば受給者が転居をする際、気に入った物件が60,000円だったとしたら、そこへの転居は認められません。

 これは、受給者自身が不足分を自らの生活扶助*2から自己負担と主張しても、認めることができません。

 生活保護法での生活扶助はあくまで自身の食事代や光熱費代に充てるものであり、住宅扶助を超えるアパートに住むために支払われるものではないからです。

 

 住宅扶助額を超過する物件に住んでいる場合、原則は転居指導の対象となります。 CWは受給者に早急に住宅扶助の範囲内の物件へ転居するよう指示します。

 特に生活保護申請前に高い家賃に住んでいると、保護開始後概ね半年程度で新たに転居先を探すよう指導していきます。生活扶助は殆ど余ることない金額で支給されるため、毎月自己負担をすることで自身の食費を削るやほかの支払いを後回しにして生活をひっ迫するなど悪影響が生じます。

 

管理費・共益費への振り替え

 しかし、高額家賃全てを認めず転居指導しているかといえば、実際は工夫を凝らしている受給者もいます。

 例えば、管理費・共益費の項目をうまく使って、超過分を振り分けることをこっそり助言するCWはいます。

 先ほどの60,000円の例ですと、㎡数18㎡のアパートであれば、60,000→53,700円(家賃)、6,300円(管理費・共益費)と契約をし直す方法はあります。

 あくまで福祉事務所が住宅扶助額を決定していくのは、契約書に記載のある㎡数と家賃額を参考にしているだけです。

 おおよそ管理費・共益費として受給者が自己負担できる額は1割程度と考えています。あくまで管理費・共益費の割合も目安であり、最終的には受給者本人の生活状況に左右されます。

 もし、大家さんとして予めきちんと家賃・管理費等を収めてもらいたいのであれば、家賃部分と管理費等部分をそれぞれ後述する住宅代理納付をしてもらえれば、未払いのリスクを下げることができます。

*1:受給者がアパート居住に必要な家賃。

*2:受給者が日々生活するために支給される生活費。