生活保護ケースワーカー奮闘記

令和時代に福祉事務所のケースワーカーとして働く公務員の皆さん、またその関係組織の方々に関する情報を提供します。

地区担当変更ガチャ

この時期人事異動があり、ケースワーカーも別部署へ異動したり、課内での配置換えが起きたりします。

 

ケースワーカーは原則1年から2年ぐらいを目安に担当地区を変更します。これは、生活保護費を支給する立場であり、長年同じ人が同じ地区を担当してしまうと、馴れ合いや不正が起きてしまう可能性が少なからずあるからです。銀行員が数年で転勤するのと似ている印象があります。

 

受給者からしたら、折角顔と名前が一致した地区担当員が変わってしまうとかなりストレスになるようです。毎年この時期になると、次の担当に変わってしまうのか、引き続き担当してくれるのかと質問してくる受給者は多いです。

 

そしてケースワーカーも、仕掛かり中の仕事がある場合は次の担当員に引き継ぐ必要があり、これまた一苦労な作業が生まれます。自分の頭の中で決まっている段取りも、引き継ぐ相手に100%伝わるわけではないので、年度開始時に引き継いだことが上手く伝わらず、相手に不利益を与えてしまう場合があります。

 

 この時期、一番悩むのは次年度、自分がどこの地区を担当するかという「担当替えガチャ」でしょうか。どの地区にも一定程度、いわゆる困難ケースが住んでいます。

 

毎度不思議に思うのですが

・何故同じような大変なケースが点在しているのだろう

・どうしてそういう人が生活保護を受けているのだろう

・どうしてそういう人が地域生活を送れているのだろう

など考えても答えの出ない疑問を抱きます。

 

確かに人間は平等です。どんな人でも、最低生活を営む権利を有するため、どんな人であっても平等に生活保護を受給する権利はあります。

 

しかし、それでも「なんて面倒くさいんだ!!!」と思う受給者を担当することが決まれば、その1年間はかなり憂鬱且つストレスフルなものになります。誰かがやらねば、誰かほかの人がその悩みを抱えます。中にはその困難ケースに潰されてしまい、休職や退職してしまう方もいます。

 

よく、「そんな体調不良になる前に、担当替えすればいいじゃん」と思われるかもしれません。しかし、年度途中の担当替えはありません。非常に難しいのですが、担当となれば1年間はその対応をするのが原則となります。

 

これは、相手が「このケースワーカー嫌だから替えてほしい」という要求に応えないことも同じです。時折あります。「このケースワーカーは口うるさいからいやだ。担当を替えてほしい」という要望を出してくる受給者。その際は「無理です。替わりません。」と回答します。

 

確かに、ケースワークを行う中で受給者との信頼関係の構築は、非常に重要な要素になります。しかしそれは、相手方のわがままを100%飲むということではありません(ここをよく勘違いされる新米ケースワーカーは多いです。)。制度上、対応できないものや時間的制約があって要求に応えられないものに対しては、どんな事情があるにせよ「NO!」という必要はあります。

 

それでもダメなときは査察指導官含め組織全体での対応が必要になります。

 

ただ、担当変更の際には一定程度配慮することもあります。例えば、どうしても男性/女性のケースワーカーでないと対応ができない場合です。過去に男性からの暴力を受けて、男性恐怖症である、性癖な理由から女性ケースワーカーに対応させることが無理な場合等です。こういった場合は、査察と地区担当員できちんと相談したうえで対応を考えます。そうでないと、次の年度のケースワークが成り立たないからです。

 

今まさに次年度の地区担当を決めている最中です。ある程度のところまで詰めると、あとは任せた!という振り分けをします。細部までこだわっていると全く仕事になりません。願わくば皆さんにとって最適なガチャ結果になるといいんですが、さてはてどうかな。