生活保護ケースワーカー奮闘記

令和時代に福祉事務所のケースワーカーとして働く公務員の皆さん、またその関係組織の方々に関する情報を提供します。

ケースワーカーと心の病 その4

次に考えられるのが

 

3.これまで見たことも聞いたこともないパーソナリティーとの対話

 

難しく書きましたが、要は自分が今まで接してきていないような人達と会って話して、何かを頼んで何かを指導して、ということが辛いということはあります。

 

人間、ある程度自分の得手不得手のパーソナリティ話というのはあると思います。高圧的なことを言う人が苦手、ネガティブなことを言う人が苦手、人の話を聞かない人が苦手などなど。

前述の通り、ケースワーカーは自分の地区担当の受給者とかなりの頻度で対面し、また電話をし、訪問をし、時にはかなりセンシティブな内容のことも聞いたり考えたりする仕事です。人間相手で、しかも継続性のある支援なので、これはなかなかしんどいものがあります。

 

例えば戸籍住民課に住民票を取りに来た人と何かしらトラブルがあっても、大体はその日限りで終わるはずです。勿論、その時のトラブルが長引くことはありますが、それが5年も10年も続くことは稀です。

 

しかし生活保護の場合は受給者が、保護を継続する限り、福祉事務所との繋がりが続きます。この中で、どんなケースワーカーも、一度や二度ぐらい、ミスをすることがあります。

 

ただ、こちらからしたら数十人の受給者のうちの1人に対してのミスであっても、受給者側からしたらとんでもないショックで、行政に対する不平不満に繋がることがそれなりにあります。そこから福祉事務所批判、ケースワーカー批判に始まり、ありとあらゆることに対して反論したりする、受給していながらも福祉事務所を敵視してしまう方はいらっしゃいます。

 

勿論、ミス一つ、そんな怒らないでもいいじゃないかと言う気持ちになることもあります。それが取り返しのつくこと、例えばちょっと名前を言い間違えた、訪問の時間が少し遅れた、指導の仕方が少しきつかった、こちらからしたら些細なことかもしれませんが、これが禍根になって今日まで対立している受給者は、いらっしゃいます。

 

しかしそんな対立している受給者に対しても、地区担当員をどうしてもつけなきゃいけません。市役所の、市民の最前線に立つ公務員として、面倒な受給者だから対応しない、は成り立ちません。

 

昨今、このように福祉事務所に対して対立してしまう受給者が少しずつ増えている、行政批判が強い受給者が増えている傾向にはあります。ただこれは、福祉事務所としても対応を懇切丁寧にしないといけないと言う教訓にもつながるので、あながち全て間違っているわけでもありません。

 

そのミスをしたときに福祉事務所がどう言う対応をしたか、塩対応したり、説明が不十分であったりすれば、それはやはりこちらにそれなりの落ち度、もう少し丁寧にしておけば防げたものなのです。

 

ただ、やはりその後ずっと対応しなきゃいけない地区担当員にとって、ちょっと精神的に削られることはあります。

こちらの意図が伝わらない、

すぐに怒鳴られる、

暴力的なことを言われる、

猥褻なことを言われる、

長時間面談が続き、無理難題を突きつけられる、無茶苦茶な論調を繰り広げ、対応ができないとすぐ訴訟だ、訴えると脅しにかかる、

 

残念ながらこう言う対応が少なからず福祉事務所では起きています。勿論、査察指導官としてこういったことをしてくる受給者には、限度がある旨伝え、お引き取り願うことはあります。ただ、なかなか全ての事例を把握できているわけではないので、地区担当員、部下から逐一報告を受けられるような姿勢ではいます。

 

一部自治体では、受給者から過酷な要求をされ、ケースワーカーが単身でそれを背負っていたなんて事例が時折ニュースに出ます。非常に悲しいことですが、それが福祉事務所の面談室、相手方の家などで起きてしまっていると、目が届かず、ケースワーカーが背負い込んでしまうこともあり、その防止、メンタルケアが必要になることもあります。