生活保護ケースワーカー奮闘記

令和時代に福祉事務所のケースワーカーとして働く公務員の皆さん、またその関係組織の方々に関する情報を提供します。

ケースワーカーと心の病 その2

ちょっと前まで、心の病は怠け病だ、甘えだ、根性が足りないなんていう風潮もありました。今だってごく一部の人達は、こういう気持ちを抱いている方もいるでしょう。勿論、全てが全てメンタル疾患というわけでもありません。その職員の適性、適応力、元来からの気質なんかにも大いに左右されます。

 

その中で、ケースワーカーの仕事は前述の通り、対人援助として日々受給者との接点を持ちます。1日に何人、何十人と相手をすることもあり、その全て、いいことばかりではありません。

 

では、ケースワーカーとして、対人援助の難しさはどこにあるかを考えてみます。

 

1.突発的な来所、電話、要求が多い

 

社会人として、まずノンアポで誰かに会いに行く、誰かに話を聞く、要求をするということは考えにくいです。それは相手の時間を割いてもらう、準備をしてもらう、そんな当たり前な配慮をする必要があるからです。

 

昨今、LINEなんかでは既読無視、スルーなんてことも問題になりますが、あれだって読む側からとしたら返答を考えてるんだから、そんな急かすなよと個人的には思います。あまりにネットワークが進みすぎて、考える暇さえ与えない風潮はあります。余裕を持てばいいのにと、思います。

 

さて、ケースワーカーにとって大変なのは、このノンアポでの来所、電話などの応対後とにかく多いことです。受給者にとっては1人の担当ケースワーカーなのですが、こちらとしては100人のうちの1人なので、例えば10人が同時に同じように来所してきたら、1人しかいないケースワーカーはその10人全員を相手にしないといけません。

 

まさか、そんないきなり来ないでしょ?と思うかもしれませんが、実際には福祉事務所の近くに住む受給者ほど、コンビニ感覚でふらっと来所します。福祉事務所の近くの地区担当員は日中、殆ど席にいません。電話もせず、電話をしても「今から行くから」と、用件も言わず訪ねてきます。

 

ケースワーカー時代、私は福祉事務所から最も遠い地区を担当していたため突発的な来所は比較的少なかったのですが、それでも、近くに寄ったからついでに来た、なんて理由でふらっと来所する方は多かったです。

 

また、ケースワーカーの訪問を嫌うため、あえて自分から来所する受給者もいます。これは少し気をつけないといけないのですが、所内で会えているから生活が安定していると、その受給者の家に訪問をしないケースワーカーもいますが、これは危ないです。実際の暮らしぶりが、来所では掴めませんので、しっかり訪問をすることをお勧めします。

 

電話も同じです。1人5分で終われば良いのですが、中には30分長々と話す人もいます。終わってみれば別の人への折り返し連絡をするようメモがたくさん積まれたりしています。

 

この突発的な来所等を苦手とするケースワーカーはいます。自分のスケジュールが崩れる、やりたいことが来所の対応で埋まってしまう、先約があるのにそちらを反故にしてしまうことがある等、なかなか思い通りにいかないタイミングがあると、滅入ってしまうことはあります。

 

また、ふらっときておきながら担当ケースワーカーが別の人の対応をしているのを怒り出す方もいます。いやいや、代わりに対応するからと言っても、担当に話を聞いてもらいたいんだ!!と言う人もいます。

 

頼られている、と言う面では良いことかもしれませんが、息つく暇もなく来所、電話の対応をしてしまうとなかなか精神的にも肉体的にも参ってしまうことはあります。

 

また、同僚にも頼ってしまうことも結構つらいです。困った時はお互い様なので、私も色々代わりに対応するのですが、仕掛かり中の話などだとどうしても担当にお願いしないといけないので、それはそれで大変です。