生活保護ケースワーカー奮闘記

令和時代に福祉事務所のケースワーカーとして働く公務員の皆さん、またその関係組織の方々に関する情報を提供します。

ケースワーカーと心の病 その3

次に考えられる原因は、

 

2.圧倒的な知識不足時に発生する緊急対応へのストレス

 

これもケースワーカーあるあるなのですが、4月の人事異動で福祉事務所は配属になり、地区担当が決まると途端に全ての物事が待ったなしで動き始めます。中には4月1日の午前中、発令式が終わって職場に配置になった途端に新規保護申請が来てしまったりします。

 

この場合、流石に初日から対応はさせませんが、その後の決定前の自宅訪問、保護決定などはいきなりの新人がやります。おそらく、どの福祉事務所でも先輩が隣に付きながら、保護費の計算やら決定処理などをやります。

 

ちなみによその職場では最初の1週間、もしくは1ヶ月、もしくは本採用までの半年間、ほぼお客様待遇なところも少なくはありません。戸籍住民課、市民課みたいなところは「研修中、ご迷惑をおかけします」みたいなプレートをつけ、さながらレジ打ちのアルバイトみたいな示し方をするところも、、、あれは正直、ケースワーカーから見たら、何やってんだ?!と一時期、なんだかなーという目で、同期を見たことをあります。

 

勿論ケースワーカーには研修中なんてありません。担当受給者が問題起こせば配属直後でさえ、大量のクレームを聞いたり、よく分からない主張を聞いたり、外に訪問したりと様々事件が起きます。この時、やはり知識が全くないままで動くので、次どうしたら良いかという準備が自分でできず、周りに聴こうにも周りもバッタバタで聴けない、そんなことで対応が後手に回り、状況が悪化する、、、なんてことは起こってしまいます。

 

よく分からない人からはせっつかれ、よく分からない人に大量に会い、よく分からないことに振り回され、なんてことが日常茶飯事です。慣れてくると、次の一手を自分で考えられる、誰にどのタイミングで聞けば良いのかがわかるので、自分のペースが少しずつ生まれます。

 

また、ケースワーカーのもう一つの大変な作業が経理作業です。保護費の支給、一時扶助の支給、収入申告の処理などなど、結構苦手とするケースワーカーは多いです。これらも厳格なルール、生活保護法に定められたものなので、ミスをしてはいけないものです。たまにニュースや新聞報道で、保護費の過支給が問題になりますが、知識不足、確認不足で起こってしまう問題でもあります。

特に生活保護法はその扶助方法がとても多岐にわたります。下手すると一度もその扶助を支給したことのない項目もあったりします。それくらい幅広く設定されています。最低生活を維持するのと、そこから脱却するための制度なので、使おうとすれば特に就労関係の扶助は多くあります。

 

これをたまに受給者から相談されたりすると、まー分からないことが多いこと。通院交通費みたいなメジャーな項目ではなく、就労自立に関する扶助とかを聞かれると、流石の私も保護手帳を見ながら後輩、部下の指導をしたりします。結構長く福祉事務所で働いていても、初めて支給するという項目はあります。

 

こういった見たことも聞いたこともない扶助を周りに聞くことになるのですが、やはり忙しかったり、中には「そんな扶助はない!!!」と調べもせずに回答してしまう先輩ワーカーもいたりするので、なかなか疑問が解消されないまま、もやもやとしてしまうことはあります。

 

にも関わらず、受給者からは、まだですか?とか知らないんですか?と言われるので、これが結構ストレスになります。