生活保護ケースワーカー奮闘記

令和時代に福祉事務所のケースワーカーとして働く公務員の皆さん、またその関係組織の方々に関する情報を提供します。

福祉事務所ケースワーカーの役割

ケースワーカーとは

 生活保護受給者の個別支援者として、市役所職員が受給者一人ずつ担当者として支援する制度があります。この支援者を「ケースワーカー(CW)」と言い、受給者への個別支援を実施します。

 

 CWの仕事は多岐に渡りますが、大家さんや不動産会社さんとの関係でいえば、概ね以下のものが考えられます。

  • 受給者が転居先を見つけられない場合、不動産会社を探したりする。
  • 受給者が一人で不動産会社へ行けない、契約手続きができない場合、一緒に不動産会社へ行き手続きを手伝う。
  • 転居時の敷金・礼金等初期費用の支給
  • 引越業者の紹介、引越費用の支給(生活移送費)
  • 転居後の住宅扶助支給(家賃)、住宅代理納付の設定(今後ブログで説明予定)
  • 転居後に不足する家具什器費の支給、住宅維持費の支給
  • 契約更新時の更新料支給、火災保険料、賃貸保証料の支給 等

 既に入居している受給者に対しては、不動産関係の支援というより、その他の生活支援が中心となります。

 やはり入居前後に大家さんや不動産会社さんは、福祉事務所の動きに注視する傾向にあります。

 

CW=保護費を支給するだけの存在と割切りも必要

 福祉事務所のCWは基本、入居者が起こしたトラブルを仲介する立場にありません。

時折「生保受給者=福祉で何でも面倒を見てくれる」と思われている大家さん等もいらっしゃいます。

 よく福祉事務所に掛かってくる電話相談では

  • 入居者同士で騒音トラブルが生じている。行政指導しろ。
  • ゴミの出し方が悪い、きちんと指導しろ。
  • 家賃を定期的に払ってくれない、何故払わせない。
  • 家の中で入居者が死んでいる。事故物件になった。生保受給者に貸していたのだから、これから福祉事務所で借り上げろ、損失補填しろ。
  • 残置物を撤去しろ。 などでした。
 基本的にこのような訴えを聞くと、CWは対応できるものは非常に限られているため、大家さんたちに「福祉事務所で対処できるものではありません。一般の市民の方々と同じ取り扱いをしてください」という回答をせざるを得ません。
 上記の相談事は、一般のアパート入居者でも生じえるものです。対応は基本的に、貸し手である大家さん、不動産会社さん等での解消となります。
 
 福祉を受けているから安心して貸しているのに、約束が違う!とかなりの剣幕で詰め寄られる方もいらっしゃいますが、福祉事務所にあまり大きな期待を持たれない方がよろしいことは、頭の片隅に置いておくと良いかもしれません。