生活保護ケースワーカー奮闘記

令和時代に福祉事務所のケースワーカーとして働く公務員の皆さん、またその関係組織の方々に関する情報を提供します。

入居者の特徴〜精神疾患者編(煙草、ゴミ屋敷)

あくまで当方がCW業務をしている時の所見ですが、精神疾患の受給者に多く共通することは「ヘビースモーカー」であることと、掃除を含め身の回りことが疎かになりがちと言うことがありました。

生活保護と喫煙

 高齢者世帯でも母子世帯でも、昔から喫煙をしていて「なかなかやめられないねぇ」とボヤかれる方はいらっしゃいます。1日に数十本を軽く吸ってしまう、保護費の10%以上をタバコ代に使ってしまっている世帯も珍しくありません。
 生活保護制度では、煙草を吸ってはいけないと言う指導はできませんが、健康を害するほど吸い続けてしまう受給者には禁煙外来への受診を提案するや、既にかかりつけ医から減煙を指導されている方もいらっしゃいます。


 昨今のコロナウィルス騒動で喫煙について色々とコメントがありますが、やはり健康という面については度を過ぎた喫煙は、健康に対してあまり良い影響を与えない事実は間違えなさそうです。また、タバコの価格も近年ではかなり値上がりしていること、生活保護費も減額傾向にあることからお金の面で面でも生活を圧迫してしまうことはあります。

精神疾患と喫煙

 受給者宅へ家庭訪問すると、部屋中タバコの煙で充満をしていてむせ込んでしまったことがあります。目が痛くなるほどの煙で、面談終了後に服や髪の毛に臭いが染み込んでしまったこともあります。また、訪問中に受給者から「煙草吸っても良いですか?」と、タバコに火をつける方もいらっしゃいました。

 どうやら、極端な緊張を緩和するために吸い始めるようです。
 さすがに福祉事務所内の面談室で、いきなりタバコに火をつけ始めた時は止めましたが、彼らにとっては至極当たり前の行動のようです。

大家さんとしての対応

 喫煙が原因でアパート居室の壁紙を真っ黄色にしてしまったり、寝タバコで少しカーペットを焦がしてしまったりした方もいます。結局、家を退去する際に壁紙を全取っ替えする費用を請求されてしまいました。原則、原状回復費用は退去時に請求されませんが、喫煙者であったため契約時の特約に居室クリーニング、壁紙交換代の費用負担の取り決めがなされていました。

 大家さんとしては、やはり入居時に敷金を2ヶ月分徴収しておき、かつ費用負担を特約で定めておく必要があります。負担を定めておけば敷金で充当することができます。
 退去時には原状回復費用を支給することはできません。(受給者に対して請求はできますが、費用回収は非常に難しいでしょう。)キチンと次善策を取っておくことをお勧めします。

生活保護とゴミ屋敷

 精神疾患で生じやすいもう一つの問題が、居室内の荷物を片付けられないことです。
 これも実際に当人に聞いて見たところ、片付ける意欲が湧かず、気づけばゴミの日を過ぎてしまっていたや全て大事なもので捨てられないというこだわりがある方が多い印象でした。
捨てられない状態でまた荷物が増えていくので、どんどんゴミが溜まっていく悪循環に陥ります。

 勿論、家庭訪問時に居室内の整理整頓を指導することもありますが、強制力はありません。ゴミ屋敷化していると大家さん等から、自分のアパートをこんなに汚して、しかも近隣住民にも迷惑がかかっている、退去してほしいと退去通告を出された方もいらっしゃいます。
 受給者側からしたら、自分の部屋の中で何をしても良いだろうという気持ちなのですが、賃貸住宅なので大家さんの持ち物であることは変わりません。

 各自治体の生活保護以外の制度で、居宅清掃の支援事業を行なっているところはあります。私も過去に、清掃業者に依頼をして清掃、家財処分を願いしたことは何度もあります。
その後は障害福祉サービスのヘルパー事業を依頼し、定期的にヘルパーさんに来てもらっている方もいました。
 
 何れにせよ、本人こだわりや傷病を理由にしたゴミ屋敷化はどこかで食い止める必要があります。こういった現場を確認された大家さんは、一度福祉事務所に相談、居宅清掃を条件に契約更新するなどの対応も検討して見ることをお勧めします。