生活保護ケースワーカー奮闘記

令和時代に福祉事務所のケースワーカーとして働く公務員の皆さん、またその関係組織の方々に関する情報を提供します。

生活保護の医療券

生活保護受給者は保険適用の医療であれば原則自己負担なしで医療機関への通院ができます。その際、受給者の方々は一般の方が持っているような健康保険証というものはなく、代わりに医療券という紙を使って通院します。

医療券は、通常1つの病院に対して1枚、一月に1枚必要となります。例えば、○○内科医院は行くならその病院名が入った紙を発行しています。△○整形外科に通うなら、そのために別にもう1枚作成します。

 

この医療券は通常であれば都度、受給者が通院する月の初回に持参するのですが、おおよそどこの福祉事務所でも定期通院していて、医師から通院の必要性ありと診断されている方は自動的に券を発行しているところです。

そのため、受給者は医療機関へは診察券のみを持っていくことが多いです。

 

初診の場合は大体持参していくことが多いです。そうしないと、受付窓口で請求されたり、一旦福祉事務所に取りに行って再度来るよう言われたりすることもあります。その辺りは医療機関のさじ加減になります。

 

医療券はどこの病院でも発行できるものではありません。都道府県の指定医療機関として登録されている病院のみです。

そのため、受給者が行きたいと行った病院がせいは対応していない病院の可能性もあります。受給者は通院する前にあらかじめ福祉事務所に、医療券が使える病院かを確認する必要があります。

万が一使えない病院の場合、これは100%自己負担となり、福祉事務所でも扶助ができません。殆ど例はないのですが、いきなり駆け込んだ病院が実は対応していない病院であったということがあると、我々も対処ができません。

 

経験上、内科や外科といった科目であればおおよそどこでも生保対応していますが、歯科が意外と対応を嫌がります。

歯の治療は単価が高く、治療期間も長期化するので収入源としていいのでは?と思うのですが、歯科の場合はそのほかに自由診療の部分も多いため、あまり生保受給者を受け入れないところもあります。

そのため、歯科に通いたい受給者はどこへ行けばいいのか、時折悩んでしまうこともあります。

 

なお、医療券は保険適用の医療であれば自己負担はなく通院できます。これは、入院時の費用も同じです。しかし、入院時の飲食、リネン、テレビカード、その他諸々の自己負担部分は実費で受給者自身の負担になります。

たまに、退院時に高額な費用を請求されたと憤る受給者もいますが、そこは日々の生活費から捻出するものであり、福祉事務所でも別途支給するものではありません。

 

医療券を持っていくのを嫌がり、医療機関にかかりたくないという方もいます。もちろんそういう方も、必要な治療を受けていくよう促すのも仕事です。

 

逆に月に何度も同じ症状で頻繁に通院される方には、頻回受診として控えるよう指導することもあります。

 

最近はコロナウィルス感染を防ぐため不要不急の通院も控えているようですが、体調を崩して入院されたりする方も少なからず増えています。なかなかバランスが難しいと感じることもあります。