生活保護ケースワーカー奮闘記

令和時代に福祉事務所のケースワーカーとして働く公務員の皆さん、またその関係組織の方々に関する情報を提供します。

入居者の特徴〜傷病者、その他編

傷病者世帯とは

 

傷病者世帯については、これまでの高齢者や母子世帯と違って世帯累計がそれなりに変わる可能性があります。

傷病者世帯は、現在まで医師の診断等で就労に制限のある者を指します。特に多いのが、高血圧や糖尿病、重度腰痛症で就労ができない若年層、精神疾患があるが精神保健福祉手帳の等級が障害加算の付かない世帯などです。

 

外見では分かりづらい傷病者世帯

 

周りからあまり判断がつかないことが多いのがこの世帯の難しさです。特にアパートに住んでいると、平日なのに全く部屋から出てこない、ずっと家にいる(療養中の場合が多いのですが)ということで、周囲から訝しがられることは確かにあります。

福祉事務所としては、なるべく就労できるよう支援をしていますが、体調が悪くて動きづらい受給者にまで就労を強制することはできません。体を壊している者だからこそ長期療養が必要となっている者もいます。

この辺りが世間の認識との大きなズレであり、生活保護制度の難しさでもあります。

 

 

傷病者世帯と保護脱却

 

福祉事務所としては、働ける能力(稼働能力)がある者に対しては就労指導をして、積極的にその活用を促しています。中には、少し頑張って働いてみて保護脱却となるかと思う程度に稼ぐ世帯もいますが、2〜3ヶ月で体調悪化により退職というパターンは多いです。

一度頑張ってみてダメになってしまうと、その回復まで非常に時間をかけてしまう傾向にあります。そのため、本当に就労できるレベルにまで達しないと、やはり継続して保護脱却できる程度に収入を得ることは難しいと考えています。

 

その他世帯とは

 

その他世帯というのは、現在まで傷病による稼働能力の制限が少なく、一定程度就労収入を得ている世帯を言います。

時折、生活保護を受給している者は働けない、働いても意味がないと言われることがありますが、実際には「働いても最低生活を営むまで収入が達しない場合、保護受給」となります。勿論、働けば働くほど世帯としての収入は多くなります。

(多くの批判として、保護を受けながら、しかし保護がなくならない程度の稼ぎの方が、一番割がいいと言われることです。確かに、税金も掛からず、医療費も掛からず、更新料とかも払ってもらえる、、、色々な経費を考えると、確かに保護を受けた方が金銭的に恵まれる可能性も、、、ただ、それほど自由はありませんが、、、非常に難しいですね)

 

傷病者世帯らと大家さん

 

大家さんとして気をつけて行くべき点は、これまでのように住宅代理納付制度が使えるのであれば、積極的に活用して行くことが第一になります。緊急連絡先も親族、福祉事務所でカバーできるようにしておく必要はあります。

また、傷病者世帯は多種多様な問題を抱えている場合があります。そのため、

 

yoko2020.hatenablog.com

 

精神疾患編でも書いているような注意点は常に持っておく必要があります。

 

その他世帯の場合、これは普通の一般市民と扱いは同じです。更新料などが福祉事務所から支給される点は有益ですが、住宅代理納付制度が使えない程度の稼ぎがある可能性はあります。

 

 福祉事務所としても、これら二つの類型世帯がどのように自立し、保護脱却を目指すかが重要な支援になります。しかし、簡単に脱却へ行かないところに就労へたどり着くまでの道のり、たどり着いてもその後継続をどうしていくかの難しさがあります。