生活保護ケースワーカー奮闘記

令和時代に福祉事務所のケースワーカーとして働く公務員の皆さん、またその関係組織の方々に関する情報を提供します。

移管を断る福祉事務所の対応 その2

では、実際の移管の連絡などの仕方です。 ・受給者が転居先を決める。物件候補が決まったときに相手方自治体の福祉事務所へ情報提供。 このときに相手方から、具体的な受給者情報を求められる場合があります。受給者に情報提供をしていいかを確認した上で提…

移管を断る福祉事務所の対応 その1

自治体の中で生活保護を受けている人が何かしらの理由で転居をして、自治体の外に出てしまうことがときあります。 例えば、高齢で市内に物件が見つからずたまたま範囲を広げたら隣の市の物件であったり。 精神疾患で入院をして、やっと症状が落ち着いたのち…

ケースワーカーとテレワーク

新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、行政でも職員はテレワークを推進しているところです。 しかし、福祉事務所のケースワーカーでは残念ながらテレワークを実施するのはほぼ不可能です。当然ながら受給者に対しての直接支援が基本なため、福祉事務所…

ケースワーカー質問コーナー その3

色々質問があったりしたので少しずつ 事務職ですが、4月から福祉事務所のケースワーカーとして仕事をするよう異動がありました。8月までの4ヶ月間、とても精神的に辛くて何度も辞めたくなります。何故自分がやらされるのでしょうか、人事評価が悪かったので…

ケースワーカー質問コーナー その2

Q.アパートに住む市民からの苦情です。上の階に住んでいる生保受給者の生活音などがうるさい。奇声を発する、注意して欲しい。生保であることは知っている、福祉から言って欲しい。 これもよくあります。何故かアパート上下左右でトラブルが起きると、その…

ケースワーカー質問コーナー

職場の後輩からこんな質問がありました。 Q.高齢者で在宅生活限界なのに、一向に施設入所に応じない。地域資源はかなりギリギリまで使っていて、大家からはこのままでは貸し続けられない、福祉で退去させてほしいと、事故物件になったら遺留品(残地物)が…

生活保護と熱中症対策

受給者にとって夏の熱中症対策はかなり大変なものがあります。特に高齢者の場合、対策しないと部屋の中で体調不良になり、救急搬送されてしまえばたちまちADLが低下してしまいます。 ただ、不思議なことにあまり受給者は熱中症で運ばれることはありません。…

4連休の間の生活保護申請

貧困状況の中、どうしたら良いか分からない方が少なからずいると思います。 まず、この数日をなんとか凌ぐこと。 まだ家に食べるものがあれば、大切にすること。 今のうちに福祉事務所に出す資料を用意すること。特に大事なのが手持ちの通帳をATMで記帳して…

生活保護と介護サービス その3

介護サービスを導入する時に一番ありがたい状況は、やはり入院中の調整です。入院していてADLが分かりやすい場合、そして退院調整時期になってサービスを入れるための相談をする時が一番やりやすいです。 これは関係する人たちがみんなして、サービスの必要…

生活保護と介護サービス その2

さてさて、結局介護サービスを受けるまではほとんど一般の方と変わりがないルートを辿ります。生活保護だから、お金がないから、福祉の世話になってるから、という理由での近道、裏道はありません。 一般の方だと、とにかくサービスを入れるまでのつなぎとし…

生活保護と介護サービス その1

高齢世帯の多い受給者ですが、やはり年齢を重ねるに連れて介護保険のサービスを利用する方は多くなります。一般的に使われているものを当然使います、単にお金の支払いが本人から支払われるか、福祉事務所から介護扶助で支払われるかの違いだけです。サービ…

生活保護とコロナウイルスワクチン接種

高齢世帯が多い生活保護受給者ですが、新型コロナウイルスワクチンの接種が先月から始まってから大きな混乱はなく、粛々と接種を受けています。 高齢の生活保護受給者は概ねどの世帯も医療機関への通院がありますので、かかりつけ医で接種をケースワーカーか…

年金改定と生活保護費 その2

さて、年金額が変わる時に福祉事務所のケースワーカーは未だに年金改定通知書を受給者から受け取り、せっせとコピーをして金額を確認、返却しています。 働きかけが非常に面倒な作業なのです。受給者は、金額がほとんど変わらない年金を収入と捉えている人は…

年金改定と生活保護費

毎年6月になると福祉事務所として恒例の年金額調査が始まります。 老齢年金、障害年金、遺族年金等各種年金は毎年微妙に金額の変動があったり、全く変わらなかったりします。 受給者は年金を含め、何か収入があると遅滞なく収入申告する義務があります。年金…

生活保護制度の不思議さ

生活保護業務に携わってから、この法律・制度をじーっと見る機会が増えました。もっと言えば、真剣に「なんだこれ??」と考えるようになりました。 とかく、福祉職でもないので大学の講義などで福祉系の授業など受けたこともなく。単に地方公務員になってそ…

家庭訪問と部屋の中身 その2

前回、タバコの煙が凄いお家でしたが、もう少し印象的だったお家を。 家中に何かの貼り紙がされていて、なんだ??と受給者と話をしながらチラチラと横目で見ていると、、、あ、、、何かの言葉だ、これ、、、あ、、、、なんかの信仰的な言葉だなぁ。 お札と…

家庭訪問とお部屋の中身

CWの大きな業務として、受給者宅への定期家庭訪問があります。 他人の家に行く、しかも家の中まで入るという業務は事務職をしているとほとんどありません。福祉職の方や保健師さんなどはお家の中に入って仕事をすることもありますが、私もCWになるまでは、こ…

受給者との距離感

色々な仕事をしている中で、これほどまでに市民の方と距離が近い業務も珍しいと思います。家庭訪問や所内面談など、担当受給者と膝を突き合わせて話をすることが多い仕事ですが、それよりも難しいなぁと思うのが、その「距離感」だと思います。 例えば、受給…

保護費を使い切った受給者の対応 その3

食糧支援も手を尽くしてしまった場合、次に考えるのが短期に日雇い就労で何とか日銭を稼ぐことです。これは結構現実的な話で、一般市民の方なら「お金がなくても働けばいいじゃないか。何故保護費に頼るのか」と考える方も多いです。 勿論、この手段をそれな…

保護費を使い切った受給者の対応 その2

さて、実際福祉事務所のケースワーカーは、このように月中で保護費を使い切った受給者に対してどういった対応をしているか。 まず、きちんと何に使ってしまったのかを聞きます。単にルーズに保護費を使ってしまったのか、不可抗力だったのか、などなど。 そ…

保護費を使い切った受給者対応

時折保護は支給日までに保護費を使い切ってしまう受給者から、もう食べるものもない、保護費を前借りしたいという相談を受けます。 えー、まず前借りという言葉に非常にカチンと来ます。前借りというのは、労働をして得る給与に対して使われるべき単語だと思…

新年度に気をつけるべきケースワーク

新年度はいつでも緊張と不安が多い季節。配属になれば事件事故は待った無しでやってくるのが福祉事務所のケースワーカー。 通常、どこの場所もよほど人員不足でなければ配属されて1ヶ月程度はなんと無くお客さん感覚で、なんとなく手持ち無沙汰に業務時間を…

ケースワーカーはプロ公務員か(配属間もない職員、頑張れ!

福祉事務所にいるケースワーカーは過去にも書いた通り、大学時代に福祉に関する学問を納めている福祉職採用の方もいれば、一般の事務職で採用されて異動によって福祉事務所に来ることもあります。 今年度も既に新たにケースワーカーになり、それが本意であれ…

地区担当変更ガチャ

この時期人事異動があり、ケースワーカーも別部署へ異動したり、課内での配置換えが起きたりします。 ケースワーカーは原則1年から2年ぐらいを目安に担当地区を変更します。これは、生活保護費を支給する立場であり、長年同じ人が同じ地区を担当してしまうと…

携帯電話と生活保護

生活保護受給者の多くは一般の方と同じで殆どの方が携帯電話、スマートフォンを所有しています。今時ガラケーを持っている人より、新しく買う人はスマホの方が多い印象があります。 携帯電話はもはや贅沢品ではなく、必需品です。特にアパート賃貸借の契約の…

時間外手数料と生活保護

生保受給者の生活保護費について。 昔は事務者で直接手渡し支給していることが多かったのですが、令和の時代ではおおよそ8割から9割位の人たちは銀行振込です。 余程金銭管理ができない者で、福祉事務所で保護費を預かり分割支給しないといけない場合。 定期…

受給者の特別定額給付金の使い道

さて、昨年6月あたりに世間を賑わせた特別定額給付金(1人当たり10万円の給付金)について、勿論生活保護受給者も支給申請をしています。 当時、多くの受給者が「いつ出るのか」「私たちには関係あるのか」「収入認定されるのか」など様々な質問があったり…

自動車の保有と生活保護

よく、生活保護の申請の際に抵抗がある要件として、自家用車の保有を認められないという話があります。 自家用車は活用できる資産であり、これらを手放し(多くは事前に売却)たうえで現金化、これを使ってからの申請が基本となります。 昨今は新型コロナウ…

扶養照会について考える。

昨今、首相の「最後は生活保護」と言う言葉が一人歩きしていて、生活保護制度に注目が集まっています。 よく、扶養照会を嫌がり受けたくないと言う理由を言う人がいますが、実際には扶養照会を断ったまま保護を受ける方は物凄く沢山います。嫌なら聞かない、…

水際作戦を考える その2

既存の制度を紹介して活用してもらう、これは至極当たり前なことであります。だって使えるんだもん、もしみんなが「そんなもん知らん!生活保護受ける!」となれば、だーーーーれも、お金を無くして申請をしてしまいます。 そうすれば、数多の制度が蔑ろにな…